入管法に定められた在留資格制度の手続きについて
企業が外国人雇用を行う際に際して、1つのバリアとなりえるのが、“出入国管理および難民認定法”(世間一般で『入管法』と呼ばれるものですが)です。これは日本における在留資格に関することを詳細に規定しております。
こういった“在留資格制度”において、日本国内での地位やどのような活動を行うことができるのか、就労が可能なのであれば、どのような就労が認められるか等を明確に規定されているわけです。また、この資格に該当されない人物の入国を拒否したり、ビザの発給を停止したりすることが、入管法上は可能となるわけです。こうして、入管法に則った形で、日本への出入国の管理が当局においてされております。
日本国内での在留資格に関しては、以下の3つに大きく分かれます。
(1)特定の就労活動が認められる在留資格(17種類)
外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資、経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、特定活動
(2)原則就労ができない在留資格(6種類)
文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在
*上記の在留資格であっても、例外的に就労できるケースもあります。
(3)就労に制限がない(国内でどのような仕事についても原則OK)在留資格(4種類)
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者、定住者
・高度専門労働者と単純作業労働者
外国人労働者を区分すると、“高度専門労働者”と“単純作業労働者” の2つに分けられますが、前者は(1)の専門のスキルを持ち、そのスキルで仕事をするために在留資格をえたもの。後者は(3)の在留資格で仕事をするものというケースが多いようです。
もちろん、(3)の在留資格であっても“高度専門労働者”として本邦で働かれている方はおられますが、あくまで一般論としてです。
また、外国人労働者に対する日本政府の受け入れの考え方としては、高度専門労働者に対しては積極的な反面、単純作業労働者に関しては消極的で慎重な対応をしています。
国際競争力の上昇や優秀な人材の確保、国際競争力の強化等のメリットの一方で、日本人の雇用機会の減少や外国人犯罪増加や不法滞在の懸念等のデメリットもあり、そのようなバランスでの対応をとらざるを得ないのかもしれません。
・外国人労働者を招聘する際の手順について
次に外国人労働者を招聘する際の手順について述べていきます。
①外国人労働者本人が旅券(パスポート)を取得
*外国人が日本に入国するためには、有効な旅券(パスポート)が必要です。これを持たずに日本国内に入国すると不法入国となります。
②本人又はその代理人(招聘先企業等)が地方入国管理局に在留資格認定証明書の交付申請
③地方入国管理局における在留資格認定証明書の審査
*上記でも説明している通り、この在留資格証明書は日本に上陸しようとする外国人、又は招聘先企業等の代理人があらかじめ、地方入国管理局に申請があった場合、この外国人の申請している活動内容が在留資格に定める活動に該当し、かつ、基準に適合しているかを事前に審査し、審査適合と認められた場合に発行される証明書です。
④許可されると在留資格認定証明書交付
⑤外国にいる本人に在留資格認定証明書を送付
⑥本人が日本の在外公館(現地の日本大使館等)へ査証の申請
*①で取得した旅券を持っているだけではまだ不充分です。これに加え“この者は正当な理由と資格があってこの国に入国するものである。”という受入国(=日本)による裏書証明が必要です。この裏書証明を査証(ビザ)といいます。
*このときに④で取得、⑤で現地にいる本人に送付した、在留資格認定証明書を提出することにより査証の発行が円滑に行われます。
⑦在外公館(現地の日本大使館等)で査証手続き及び発給
⑧出入国港において上陸審査(在留資格、在留期間の決定)
⑨日本国内に在留中に在留期間更新、在留資格変更、資格外活動許可等がある場合は地方入国管理局で必要な手続きを取る。
⑩90日を越えて在留する場合は市区町村において外国人登録手続が必要
*②③④⑤⑨⑩が国内における手続き
*①⑥⑦が海外(その労働者の地元)での手続
*⑧が国内及び海外双方での手続
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