『働き方改革』関連法ーその概要

抜本的な労基法改正を含む『働き方改革』を推進する法律案が国会にて可決!!

 かねてから国の懸案となっていた、『長時間労働の是正』『多様で柔軟な働き方の実現』『雇用形態に関わらない公正な労働条件の確保』を謳った働き方改革法案が第196回の通常国会にて可決されました。

 平成31年(2019年)4月より順次施行されていくことになります。

 施行されれば労働基準法や労働安全衛生法に非常にインパクトがある改正となります。

 長時間労働の是正等で中小企業、企業の人事総務の方々にも労務管理の見直しにかなり負荷がかかりそうな改正となる模様です。

 法改正に懸かる部分をかいつまんで解説していきます。

 

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1.長時間労働是正における改正部分

 a)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法、労働安全衛生法)

 ・時間外労働の上限を原則1ヶ月45時間、年間360時間以内とし、臨時的、突発的な事情がある場合も年間720時間以内、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月の平均80時間以内としなければならない。

 *ただし、建設の事業に従事するもの、自動車運転の業務に従事するもの、医師等については適用に猶予期間を設ける

 *中小企業については猶予措置あり

 ・10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、5日分については毎年時季を指定した上で取得させることを事業主に義務化

 ・60時間超の時間外労働に対する割増率(50%)の中小企業への優遇の時限措置の撤廃。

 ・高度プロフェッショナル制度(年収1075万以上の労働者の労働時間規制の対象外とする制度)を創設する。ただし、高度プロフェッショナル制度の対象者であっても健康確保措置実施の対象となる

 ・時間外労働が限度時間を超えた人の健康確保措置の実施義務

 ・健康確保措置実効の観点から(管理監督者を含む)全ての労働者を対象とした労働時間の把握義務

 ・フレックスタイム制清算期間の見直し

 

 b)勤務間インターバル制度の普及、促進(労働時間等設定改善法)

  前日の終業時刻と翌日の始業時刻に一定の休息時間を設けるよう努めめなければならない(事業主側に対する努力義務化)

 

 2.雇用形態に関わらない公正な待遇確保(同一労働同一賃金)の改正部分

                   (パートタイム労働法、労働契約法)

 a)公正さを欠く待遇格差解消のための規定整備

 ・非正規雇用者と正規雇用者の個々の待遇について、待遇に差があるようであれば、それらの待遇の目的や性質に照らし合わせて適切か否かを判断する。

 ・有期労働者の均等待遇規定の整備

 b)非正規労働者に対する待遇に関する説明義務の強化

 ・短時間労働者、有期雇用労働者、派遣労働者について正規雇用者との待遇格差(内容・理由)の説明を義務化

 c)行政による履行確保措置と裁判外紛争解決手続きの提供(ADRの設置)

  『不合理な待遇格差』があった場合および説明義務等に関しての行政側の履行確保措置とADR制度の設置について

 

 施行日について)

 1.“長時間労働の是正部分”については平成31年(2019年)4月1日より

  *時間外労働の上限規制については中小企業に対しては令和2年(2020年)4月1日より

  *中小企業の60時間以上の割増率の優遇の解除については令和5年(2023年)4月1日より

 2.“雇用形態に関わらない公正な待遇の確保”については令和2年(2020年)4月1日より

  *中小企業におけるパートタイム労働法、労働契約法の改訂部分の適用は1年間猶予の予定

 

 猶予の対象となる中小企業とは…)

業種 資本金または出資金の額  

常時使用する労働者数(企業全体)

小売業 5,000万円以下 または 300名以下
卸売業 1億円以下 100名以下
サービス業 5,000万円以下 100名以下
上に挙げた以外の業種 3億円以下 300名以下

 今回の改正の核はやはり、“長時間労働の是正”ということになるでしょう。

 残業時間に法律により制限が課せられるため、経営者としてはこれまでの成果を維持しながら、法改正の施行までに従業員の労働時間をどのように減らしていくのかという部分に着手しなければなりません。

 当事務所では、科学的手法を使い、生産性向上による残業時間の削減を実現できる解決策があります。

今回の法改正で、“何をしたらいいのか?どこから手を付けていいのかわからない…”という経営者の方は多いと思います。当事務所でそういった経営者の皆様に今回の法改正の概要と対応策について、ご説明にお伺いさせていただいており、初回のご相談は無料とさせていただいております。(遠方の場合は交通費応相談)お問い合わせフォームよりリクエスト、ご予約下さい。

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“働き方改革”への対応は順調に進んでますか?

 

 当サイトへご訪問下さりありがとうございます。

 2019年4月から順次施行される“働き方改革関連法”

 その中で一番懸念されるのが、時間外労働の上限規制等を含んだ労働時間制度の見直しでしょう。

 長時間労働について行政が初めて罰則を伴った規制に乗り出すわけですので、企業としてはしっかりと対応が求められます。

 しかしながら、昨今の人手不足等の問題を抱え、企業としては少ない労働力でどのように残業削減の対策を施せばよいのか、非常に頭の痛いところではないでしょうか?

 当事務所ではそういった、経営者、人事責任者の皆様のお悩み解決のヒントをご提供するために、小冊子

  “残業時間の減らし方!ー業務改善7つのマイルストーン”

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 せっかくの機会ですので是非ご利用下さい。

時間外労働の上限規制ー2019(平成31)年度改正労働基準法

時間外労働の上限規制について(改正労働基準法)

 今回の“働き方改革法案”の中で、企業の労務管理において最もインパクトを与える部分は改正労働基準法における、“時間外労働の上限の設置”ではないかと思われます。

 この“時間外労働の上限規制”について詳しく解説していきたいと思います。

 

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まずは以下の対比表をご覧下さい。

時間外労働の上限規制ー法改正の前後の比較表 

                         (朱字=改正部分)   

  法改正前 法改正後
規制の根拠 労働省告示 法律(労働基準法)
罰則の適用

*6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

時間外労働時間の上限(原則) 1ヶ月45時間、年間360時間(1年変形運用時は1ヶ月42時間、年間320時間) 1ヶ月45時間、年間360時間(1年変形運用時は1ヶ月42時間、年間320時間)
特別条項締結時(例外時)の時間外労働の上限 原則:上限なし=青天井

単月:100時間未満(休日労働含む)

年間:720時間

複数月平均:80時間(休日労働含む)

 

適用除外者

・建設の事業

・自動車運転の業務

・新商品、新技術の研究開発業務

          等

 新商品、新技術の研究開発業務のみ

*建設の事業、医師等については改正法施行後5年間の猶予後適用

*自動車運転業務については改正法施行後5年間の猶予後適用(ただし年間上限時間について960時間とする)

       *施行時期は2019年(平成31年)4月1日

       *中小企業について2020年(令和2年)4月1日

       *実務上の運用は各企業の36協定の失効時期によって判断

労務管理上の留意点

1.告示⇒法律に規制対象が変わる意味について

この時間外労働時間の上限規制についての一番の留意点は、法律で罰則を伴った規制を行うという“絶対的規制”に変わるということです。

 単月100時間未満、年間720時間等の時間規制のみに目が行きがちですが、このことも着目しなければなりません。

今までは、告示上の限度時間、つまり、1ヶ月45時間、年間360時間を越える36協定の締結は告示違反ではあるが、法違反ではないため、労基署はその36協定を受理せざるを得ませんでした。今までは残業時間の再検討を事業場側に促すスタンプを押印する指導しかできませんでしたが、改正後は罰則の適用を念頭に入れた指導ができるようになります。

  極端な話ですが、例えば、法改正後に特別条項なしに月間50時間、年間500時間の時間外労働に労使合意した36協定が存在しているとします。しかしながら、この36協定は(告示ではなく)法律に抵触しているので、法律に抵触する協定部分については、法律まで引き下げられる、つまり、月間45時間、年間360時間まで引き下げられた協定時間とみなされ、月間45時間を超える残業を従業員にさせた時点で、事業主が処罰の対象になりうる…。という解釈も理論上は成り立つ可能性があります。

 

2.時間外労働の上限規制の対象が休日労働を含む時間となること

 通称36(サブロク)協定とは、時間外労働、休日労働日数の制限についての協定です。従来は時間外労働時間と法定休日労働日数は別のカウントとされていました。(法定休日以外の所定休日の扱いについては明確には定められておらず、時間外に含めるか休日労働に含めるかは各事業所ごとの裁量とされていました。)

 今回の改正では、単月及び年間の時間外労働の上限総枠の中に休日労働時間も含むということになっています。改正後の休日労働日数の制限についてはどのように規制を設けるのかは今後の情報を待たなければなりませんが、36協定の協定方法がおそらく抜本的に変わってくるのではないかと思っています。

 企業の労務管理の面につきましては、従業員の労働時間の把握方法を見直さなければならない可能性も出てくるのではないでしょうか。

 後日追記)

 休日労働込みの時間外労働の上限総枠の管理は、協定届の様式に“チェックボックス”を置くことで行うことになった模様。

3.定額残業代制度への影響 

 現状“定額残業代”を導入している企業さんは注意が必要です。特に残業代の高騰を防ぐためだけに、極端な長時間分の定額残業手当を定めているような事業所は、限度時間の上限や36協定との整合性を確認し、法改正以後の対策を立てておくべきでしょう。

4.法改正に向けた対応として 

 ここ数年、過重労働が原因となった不幸な出来事が続いたこともあり、国が時間外労働の上限時間に絶対的な規制を設けるということが確定的になりました。施行時期も2019年(平成31年)4月から(*中小企業は1年間猶予)となり、時間的猶予もなくなってきております。

 昭和の企業戦士が如く、“徹夜も辞さずモーレツに長時間働くことが美徳”という考え方から“生産性を高め効率よく業務をこなし早く帰るのが美徳”という考え方へマインドそのものを切り替えていかなければならない時期に来ています。

しかしながら

 業務の効率化、生産性の向上等の対策を立てたいがどうしたらよいかわからない…。

 組織全体が長時間労働の負のスパイラルからなかなか抜け出せない…。

    そのような事でお悩みの経営者の方は多いのではないでしょうか?

    当事務所ではそういったお悩みを解決できる効果的な方法がご提供できます。

 

 1つの方法としては、経営管理学の手法を用いて、成果や生産高を維持しながら労働時間の短縮を実現するスキームがご提案できます。

 また、従業員一人一人の行動の質を高め、“デキる社員”を増やすことで組織全体の生産性向上の図る手法もご提案できます。

 今回の“時間外労働の上限規制”の施行に際し、36協定や労働時間の管理方法等の労務管理法が抜本的に変わります。とは言っても“何としたらいいのかがわからない”“残業を減らす方法がわからない”という経営者の方も多いのではないでしょうか?当事務所では初回訪問無料で、法改正の概要や対策のご説明にお伺いさせていただいております。(遠方の事業所様は交通費応相談)

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2019年(平成31年)の労働基準法改正で36協定が変わる!!

 労基法の改正後の36協定(時間外・休日労働協定)が大きく変わります!!

 今回の法改正で、時間外労働の上限規制が新たに法制化されたことに伴い、36協定もそれに合わせたルール変更が行われます。(施行日:平成31年4月1日、中小企業には1年間の猶予期間あり)

 

 様式の変更)

  まずは協定届の様式が変わります。厚生労働省が掲載する様式、及び記載例を参照下さい。

   ・特別条項なしの一般様式

   ・特別条項付きの様式

協定届の主な変更点)

  以下の表をご覧ください。

     改正前の協定 改正後の協定
協定期間の区分 1日を超え3ヶ月以内の期間(の任意の期間で設定)及び1年間 1ヶ月及び1年間
労使合意のチェックボックス        無   新設
特別条項 特にフォーマットは設けず(協定内容は余白や欄外に記載もしくは協定書添付で代用) 特別条項の内容が記載できる協定届のフォーマットを新設
対象期間(用語の新設)     無(そもそも概念なし)   1年間

 解説)

 1.協定期間の区分

  36協定では時間外労働の1日及び一定の期間の残業時間を労使で協定する必要があります。従来はその一定期間が“1日を超え3ヶ月以内の期間”及び“1年間”となっていたのが、今回の法改正により、“1ヶ月”及び“1年間”という形で協定しなければならなくなります。

 今までは、“1日超3ヶ月間以内”で任意の期間を選択できていたのが、1ヶ月に統一されるということになります。シンプルにはなりますが、融通が利かなくなります。

 例えば、今までは決算時期等の関係で4半期の最終月に繁忙期が来るような企業であれば、3ヶ月単位で残業時間を限度時間の上限120時間で協定し、最初の2ヶ月間の閑散期は各月20時間程度の残業で、最後の1ヶ月間の繁忙期に集中的に80時間残業を行い、3ヶ月トータルの閑散具合で調整するようなやり方が可能でした。

 しかし今回の法改正により、月間残業時間の上限が規制されることになった関係で、一定期間の区分は1ヶ月および1年となり、2ヶ月や3ヶ月で協定することができなくなります。

 2.チェックボックスの設置について

  休日労働を含め単月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内の上限規制が守られた協定であるか否かは、様式上の1ヶ月、1年の協定時間の記載だけでは判別がつきません。そこで、労使双方の遵守事項の確認という意味を込め、新たにチェックボックスを設けるようにしました。このチェックボックスにチェックが入っていなければ、不適正な協定届となり、返戻対象となります。また、このチェックボックスは特別条項付の協定届だけではなく、通常の様式にも設置されておりチェックが求められる項目になります。

 3.特別条項付きの様式の新設

  今までの36協定届では、“特別条項”専門の様式というものは厚労省からは指定されたものはなかったので、通常の協定届けの余白や欄外に特別条項の内容を記載するか、あるいは特別条項の内容が確認できる協定書を添付するのが一般的な提出方法でしたが、今回の改正に伴い、特別条項付き協定届の様式を新設し、厚生労働省令にて規定した上でWeb上で公開しています。

 “限度時間を越える労働させる場合の手続き”等を記載する必要があることは以前と変わりませんが、裏面に“記載の心得”という部分を設け、限度時間を越えた労働者に対する、健康福祉措置も協定内容に記載させる等従来の協定届けより厳格なものとなっております。

 4.“対象期間”という概念・用語の新設

  今までになかった“対象期間”という概念、用語が加わります。対象期間は1年間のみとなります。

  (労働基準法36条2項2号にて規定ー36協定により労働時間を延長し、あたは休日に労働を命じることができる期間を対象期間といい、1年間に限るものとする)

 様式や記載内容は変わりますが、届け出ることによって協定の締結内容の効力や免罰効果が生じる等従来通り、大事な届出であることは変わりません。

 なかなか自社でうまく協定が纏まらないであるとか、変更によってどのように記載すればよいかわからないということであれば、専門家に任せるのもひとつの方法かも知れません。

 当事務所では、労基署にて36協定の点検指導を長年勤めた代表が36協定の作成指導をさせて頂くことができると同時に、多忙で残業時間の短縮が出来ずに限度時間内に収まらずお困りの事業所様には、生産性向上による、残業時間削減のお手伝いもさせて頂きます。

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 36協定締結も含めて今回の働き方改革に向けた動きとして、何から手をつけてよいのかわからないという経営者の方も結構おられると思います。当事務所では初回のご相談料は無料で御社で必要な“働き方改革に向けたアクションアイテム”を訪問診断させていただきます。大阪から遠方の企業さんでも、交通費等経費の折り合いが付くのであれば、訪問させていただきます。

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年次有給休暇の時季指定義務(最低5日の確実な有給の取得、消化の促進)

年次有給休暇の確実な取得、消化を促進するのための労基法改正

           平成31年(2019年)4月1日 施行予定

 

 改正前の有給休暇の概念)

 従来、年次有給休暇というものは、原則、労働者側に時季指定権があり、労働者が時季を決め、請求して初めて発生するという考え方になっていました。(請求がなければ有給は発生しない)

 また、その考え方の例外としては、有給消化率向上のため、事業主側が有給の時季を予め指定する計画付与という制度もありますが、導入するしないは企業側の任意で国から強制された制度ではありませんでした。

 

 改正でどう変わるか?)

 “有給は労働者からの請求がまずありき”という従来の考え方の一部が見直され、付与日数が10日以上の労働者に対しては、年間5日分については、もし請求がなかったとしても、時季を決めて有給休暇を取得させなければならないという義務が使用者側に課せられます。

 極端な言い方をすれば、勤勉な従業員が自分の意思で有給を1日も取得しなかったとしても、事業主が処罰されるような事態も起こりえる改正となります。

 計画付与で決められた日数や従来同様労働者が時季を指定し請求した日数については、取得義務のある5日から差し引かれます。つまり、5日分全て計画付与で賄ってもOKという解釈になります。

 

   有給休暇の計画的付与ってどんな制度??解説はこちらから

       “有給休暇の計画的付与”の解説記事へ

 

 対象労働者について)

 有給休暇の付与日数が10日以上の労働者全員が対象となります。正規雇用、非正規雇用の区別はありません。パートタイマー等の比例付与の対象者であっても、付与日数が10日以上ある労働者は時季指定義務の対象者となります。

 

 罰則の適用)

  あり。罰金30万円

 

 年次有給休暇の管理が厳格化!!)

  有給の取得状況や残日数等が把握できるように有給管理簿の作成が義務付けられます。(厚生労働省令による)。書類の保存は3年間。 

 

 経営者の皆様に留意してもらいたいこと)

 人手不足により、恒常的に業務繁忙が続く中小企業では、有給休暇は取らせてあげたい気持ちはあるにしろ、実際の取得については、業務に支障がでることが気がかりでなかなか“取得させることに前向きになれない”経営者の方も多いと思います。

 しかしながら、少なくとも年間5日分については消化させなければ、経営者側が罰せられるルールが運用されることになりますので、ここはしっかりバードルをクリアしておきたい部分ではあります。

 

 “気兼ねなく最低5日は有給休暇が取得できる”環境に改善するためのポイントは

  ・適切な休暇管理体制(計画付与等)の整備

  ・生産性向上による実労働時間の削減

 

 この2点に尽きるでしょう。

  特に生産性向上は、昨今の人手不足の状況下にも関わらず、休暇を増やし、労働時間縮小を義務付けられたジレンマの中で経営者の皆様の一番の課題ではないでしょうか?

 当事務所では、この“生産性向上”という命題に対しては、“IE手法”“DIPS法”“コンピテンシー”という3つの切り口により労働時間短縮等の解決策を提示致します。

 

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  今回の法改正で、有給休暇を従業員に取得させる義務が課せられたことで、どうすればよいのか?何をすればよいのか?今までの労務管理を何をどのように変えていけばよいのか?等々まだまだ手探りな経営者の方も多くおられると思います。

 有給を付与せよ!国からいきなり課題を出されたところで、労働力不足で現実に実効することが困難な会社もあると思います。

 当事務所では、働き方改革対応で、御社のどの部分がまだ足りていないのか?どのように労務管理すればよいのか?等の診断を初回訪問無料で対応させていただいております。(遠方の企業様は交通費応相談)

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フレックスタイム制ー清算期間見直し(労基法改正)

フレックスタイム制の清算期間が見直され、導入しやすくなります。

     最大で3ヶ月間の清算期間でより柔軟な働き方ができるようになります。

 

 *フレックスタイム制とは

  就業の開始時刻および終了時刻を労働者の裁量にゆだね、清算期間内(改正前は上限1ヶ月)の所定労働時間内に収まるように、労働者自らが調整して働く制度をいいます。清算期間中の法定労働時間の総枠を越えている部分が時間外労働となり、各日8時間、各週40時間の法定労働時間の枠に縛られない融通の利く働き方ができます。職種によっては長時間労働や人件費高騰の対策として有効に機能する制度の一つです。

 

 施行日)

  2019年(平成31年)4月1日

 

 今回の改正で何が変わるのか?)

  清算期間の最長を現行の1ヶ月から3ヶ月間に拡大。それにより、さらにフレキシブルかつ多様な働き方ができるようになります。ただし、清算期間を1ヶ月超えとした場合は、1ヵ月ごとの各期間(1ヶ月に満たない期間がある場合はその期間)の週平均の労働時間を50時間以内とする調整が必要となります。清算期間内である一定時期時期に集中的に働くケースを考慮し、その時期に過重労働とならないような配慮規程という意味合いでしょう。

 

 導入要件)

  労使協定の締結

  なお、清算期間が1ヶ月以内であれば、従来どおり労基署への届出は不要ですが、清算期間が1ヶ月を超える協定の場合は労基署への届出が必要となります。

 

 特例事業所の扱いについて)

  商業や保険衛生業等で10人未満の週法定労働時間44時間が適用できる特例事業所の扱いについては、清算期間が1ヶ月以内であれば、従来通り1週平均44時間で調整可能。清算期間が1ヶ月を超える場合は1週平均40時間としなければなりません。

 

 完全週休2日制の場合の特例)

  完全週休2日制を敷いている事業所では労使協定締結を条件に、清算期間内の労働時間の総枠を

     清算期間内の総所定労働日数×8時間

     とすることができる特例が設けられます。

 

  例)2019年7月のカレンダーを基に土日祝を休日、清算期間を1ヶ月とした場合

  労働時間の総枠は原則に照らし合わせると

    40時間÷7日×31日≒177.1時間

  となりますが、この特例を使った場合は

    22労働日×8時間=176時間  

           が労働時間の総枠となります。

 

 どこから時間外労働としなければならないのか?)

 清算期間をMaxの3ヶ月で設定した場合、どこから時間外労働となって、残業手当の対象となるのでしょうか?7月〜9月の3ヶ月を清算期間とした場合の例で見ていきます。以下の表をご覧ください。

 *以下は原則の場合の例で、週休二日制の特例は考慮に入れておりません。

  ①3ヶ月間を清算期間とした場合の労働時間の総枠 ②各月ごとの週平均50時間の枠(これを超えると時間外労働)
7月(31暦日数) 40÷7×92日(総暦日数)≒525.71=525時間42分 50÷7×31暦日数≒221.42=221時間25分
8月(31暦日数) 同上:221時間25分
9月(30暦日数) 50÷7×30暦日数≒214.28=214時間17分

 時間外労働時間のカウントの仕方ですが、まず7,8,9の各月で②で計算された時間を超過した分が時間外労働としてカウントされます。次に7−9の3ヶ月間をトータルして、①で計算された時間を超過した部分を時間外労働としてカウントします。ただし、すでに7月,8月,9月の単月で時間外労働としてカウントしている分は除外してカウントします。

 

 “フレックスタイム制”は職種によって向き不向きが顕著に現れる制度ですが、向いている職種でピタリとはまれば、非常に有効な、長時間労働対策、人件費高騰対策になりえる方法です。特に今回の改正ではさらに働き方の融通度が拡がっていますので、導入に前向きな企業さんも増えてくるのではないかと思われます。

 

 フレックスタイム制の導入を検討される企業様をはじめとして、従業員の長時間労働やそれに伴う健康被害リスク、残業手当の高騰に頭を悩まさせている、経営者の方も多いのではないでしょうか。

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 フレックスタイムの導入検討を含めた、“働き方改革”への準備、どのように進めていけばよいのか手探りの企業さんもいらっしゃるのではないでしょうか?当事務所では訪問、ヒアリングにより御社に合った働き方改革への適した進め方を診断させていただきます。初回訪問は無料とさせていただいておりますので、この機会にご利用下さい。(大阪から遠方の事業所様でも、交通費等の経費の折り合いがつくならば対応します。)

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高度プロフェッショナル制度の創設(2019年4月 改正労基法)

『高度プロフェッショナル制度』が新たに創設されます。

 

 高度プロフェッショナル制度とは?

  国が定める高度な専門職でかつ年収が一定水準以上(1075万円以上)の労働者を高度プロフェッショナル職とし、労働時間の規制対象から外す制度。

 

 *国が定める専門職は『省令で定める』となっていますが、現時点(平成31年1月1日)ではまだ、具体的なアナウンスはありません。

 

 従来からある労働時間等の規制の適用除外者との違いは?

  労働時間(法32条) 休憩時間(法34条) 休日(法35条) 深夜割増賃金(法37条)
高度プロフェッショナル対象者 適用除外 適用除外 適用除外(*) 適用除外
裁量労働対象者(専門業務型、企画業務型) 適用(**) 適用 適用 適用
事業場外みなし対象者 適用(**) 適用 適用 適用
管理監督者 適用除外 適用除外 適用除外 適用

 * 高プロ対象者は建前上は休日の適用除外者となりますが、健康確保措置により休日104日以上の確実な取得が導入要件(後述)となりますので、実務上は休日管理は必須となります。

 **裁量労働等のみなし労働時間の対象者は労働時間の法規制に関して適用除外となっているわけではなく、実際に何時間労働しているかに関わらず、労使協定等を根拠として『1日〇時間労働したものとみなす』だけなので、そのみなし時間が8時間を越えていれば、36協定の締結が必須ですし、割増賃金の支払いも必要となります。

 

 導入要件)

  ① 労働委員会を設置

  ② 労働委員会にて決議事項について委員の5分の4以上の賛成の意を得て可決

  ③ ②で可決した決議届を所轄の労基署に届出

 

 決議事項)

     ーどのようなことを労使委員会で決議しなければならないか

  ・対象業務

      厚生労働省令で定める業務から選択

  ・対象労働者の範囲

      年収要件等あり

  ・健康管理のため、対象業務に就く対象労働者の事業所内にいた時間と事業場外で労働した時間の合計(以下健康管理時間と記す)を把握する措置。

  ・対象業務に就く対象労働者に対して、使用者が年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日の確保を行うこと。

  ・対象業務に就く対象労働者に対し、使用者が次の①〜④のいづれかの措置を講じること。

   ①インターバル措置

   ②1ヶ月または3ヶ月間の在社時間等の上限措置

   ③2週間連続の休日確保措置

   ④臨時の健康診断

  ・対象業務に就く対象労働者の健康管理時間(⇒事業場内時間+事業場外時間の合計)の長さに応じた健康・福祉の確保のための措置

  ・対象労働者の同意の撤回の手続き

  ・対象業務に就く対象労働者の苦情の処理に関する措置

  ・高度プロフェッショナル制度に同意しなかった労働者に対する不利益な取り扱いの禁止

  ・その他厚生労働省令で定める事項

 

 制度導入後、事業主が負う義務について

  定期報告

  事前に届出された決議届で決議された事項の以下の部分ついてはさらに実施状況・運用状況を所轄労基署に定期的に届出る必要があります。

  ・年間104日以上、4週につき4日以上の休日の確保状況

  ・①インターバル措置②在社時間の上限措置③2週連続の休日の確保措置④臨時の健康診断、のいずれか実施した措置の実施状況

  ・健康管理時間に応じた健康、福祉の確保措置の実施状況

  医師の面接指導

  単月100時間超の時間外労働(1週40時間超の時間をカウント)があった場合は、労働安全衛生法66条8の4に基づき医師による面接指導を実施させなければならなくなります。

 

 高度プロフェッショナル制度は労働時間が必ずしも成果に一致しない、『ホワイトカラ職種』『知的職種』にぴったり制度に思えますが、上記で見て来た通り、導入や導入後の運営に対し多くの超えなければならないハードルが設置させています。

 また、ホワイトカラー職なら、どんな職種でも『高プロの対象職』になるというわけではなく、アナリスト等非常にレアな知的職種に限定されそうな感じです。なおかつこれに年収要件も加わってきます。

 

 『高プロ』の導入も、ホワイトカラー職の有力な生産性向上や残業手当高騰対策になるとは思います。ただ、職種が限定されていたり、導入へのハードルが高かったりと、採用を躊躇される企業さんも多いのではないでしょうか?『高プロ』に限定することなく、ホワイトカラー職の生産向上を実現できる策はないものでしょうか?

 

 当事務所ではホワイトカラー職、知的職業層の従業員に対しては『業務の時間割作り』、『業務ブレイクダウンによる優先順位付け』等を行い、生産性向上策、残業時間削減策をご提案しております。

 今回の『働き方改革』関連の法改正は企業側が『生産性向上』『労働時間短縮』という命題を国から突きつけられたものが非常に多い改正となっております。“改善したくても何からやっていいのかがわからない”“どのように進めていけばよいのかわからない”という経営者の方も多いのではないでしょうか?

 当事務所では、訪問による診断を初回無料にて行っています。働き方改革に向けて何をどのように舵を切ったらよいのかをアドバイスさせていただきます。(大阪から遠方の事業者様も交通費等の経費の折り合いが付けば対応致します。)

全ての労働者を対象とした労働時間の把握義務(2019年4月改正労働安全衛生法)

(管理監督者、裁量労働対象者を含む)全ての労働者を対象とした労働時間の把握義務

       −労働安全衛生法66条8の3の新設

             施行時期:2019年(平成31年)4月1日

今回の改正の経緯)

 今回の法改正前からも事業主には労働者の労働時間を客観的な方法で把握する義務は課せられておりました。一般的に『46通達』と呼ばれる労働時間把握方法のガイドラインが以前より厚生労働省から提示されているわけですが、この46通達の当初の目的としては、過労死対策ということではなく、あくまでも賃金未払い残業を防ぐという意味合いの通達、ガイドラインであったわけです。

 よって、時間外手当や労働時間の把握の対象とならない管理監督者や裁量労働制の下で働く人たちがこのガイドラインの規制対象の外に漏れてしまい、昨今報道される通りの長時間労働、過重労働が原因とされる不幸な出来事が度重なり発生しました。

 今回の改正では、過重労働を原因とする、健康被害の防止に重点が置かれ、労働安全衛生法を根拠に管理監督者等を含む全ての労働者に対して、労働時間の把握の実効性を確保し、長時間労働を行った労働者に対して、確実に医師の面接指導に繋げ、健康悪化や過労死を未然に防止することを目的にしたものであろうと思われます。

  46通達とは?

   『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置』のガイドラインが示された行政通達のことで、通達番号が『基発339号 平成13年4月6日』ということで発令された日をとって通称46通達と言われています。

  46通達に明示された具体的なガイドラインに付きましては厚生労働省のホームページをご確認下さい。

           詳細はこちら

具体的に法律がどう変わるのか?)

 労働安全衛生法66条8の3の新設

  『事業者は医師による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間を把握しなければならない』という条文が新設されます。

   元来、労働安全衛生法は労働者の健康状態に影響が及ぶと考えられる長時間の時間外・休日労働を行った労働者に対しての医師への面接指導を事業主に義務付けておりました。(労働安全衛生法66条の8)

 一般的に過労死ラインと呼ばれる基準(単月100時間、2〜6ヶ月を平均して80時間の時間外労働)を超える残業を行った労働者への健康保全の観点から、医師の面接指導という制度が従来からあったわけですが、この制度の実効性の担保、強化するのが今回の安全衛生法66条8の3の新設です。

 つまり、過労死ラインを超える長時間労働を行った労働者を確実に安全衛生法66条の8に定める医師による面接指導につなげることを目的にした改正ということです。

 実際は長時間の超勤を行っているにも関わらず、労働時間を把握するシステムが確立しないため、あるいは意図的に把握していないがために、労働者の健康が損なわれたり、過労死したりするような不幸な結末を未然に防ぐことが目的で今回の法改正に至ったものかと思われます。

  この条文でいうところの『厚生労働省令で定める方法』というのが、前述の46通達のガイドラインのことであり、具体的にはタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間等の方法で、(事業主や従業員の主観ではなく)客観的な労働時間の把握が義務付けられることとなります。また、従来同様、これらの記録に3年間の書類保存義務が課せられることは変わりません。(労基法109条 賃金その他労働関係に関する重要書類の保存義務)

  今回の『働き方改革』の施行に関して、“何かしなければならないのはわかっているが、何からしたらいいのかわからない”とお悩みの経営者の方も多いと思います。

 この『労働時間の把握義務』ということに限って言うと、当事務所では労働時間の把握機能はもちろん、様々な用途に使えるインテリジェンスかつコストパフォーマンスに優れたICカードの導入のお手伝いも可能です。

 又、今回の法改正全般での対応におきましても、当事務所では今、何をどのように準備し、改正に備えればよいのかということを訪問し具体策をアドバイスをさせて頂いております。 初回は相談料無料(遠方の事業所様の交通費は別途相談)でさせていただきますので、この機会にいかがでしょうか?

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その他長時間労働及びそれに起因する健康障害対策のための改正事項

今回の“働き方改革”に伴う法改正には、既出の『時間外労働の上限設定』や『有給の時季指定義務』の他にも、労働者の過重労働に起因する健康リスクに配慮した以下の法改正も施行される予定です

1.産業医を有効活用を目的とした職場環境の整備(改正労働者安全衛生法)

     施行時期:2019年4月1日

 長時間労働やそれに伴う健康悪化のリスクに備え、産業医(*)がその役割を充分機能するように職場環境を整え、労働者が有効活用しやすい施策が取られるようになります。

 *産業医とは…

  職場における従業員の健康管理について専門的な見地から助言指導を行う医師のこと。従業員が50人以上の規模の事業所には選任が事業主に義務付けられている(労働安全衛生法13条1項)

 改正内容)

 ①従来から産業医には事業者に対する勧告権(安全衛生法13条3項)を有しています。今回の改正では、その勧告権を強化し、実効性を持たせるために、事業者に産業医に対しての報告義務が課せられます。具体的には『事業者は産業医に対して、長時間労働を行う(行った)労働者の状況や業務についての状況を報告しなければならない』という義務規定が追加されることになります。

 ②従来から事業者は産業医からの勧告に対して尊重する義務(安全衛生法13条4項)が課せられていましたが、今回の改正では、その勧告を事業所の衛生委員会(**)に報告しなければならないこととなります。

  **衛星委員会とは…

   労働災害防止の取り組みを目的として事業所内に設置する委員会。職場の衛生に関する事項や長時間労働に起因する健康障害防止などを審議する。50名以上の規模の事業所に設置義務が課せられる。(労働安全衛生法18条)

 ③従来より事業者には、労働者への健康教育や健康相談を継続的かつ計画的に講ずる努力義務(労働安全衛生法69条)がありましたが、今回の改正では、それに加え産業医を活用した健康相談や健康診断が受けられる体制を整備するように事業者に努力義務が課せられます。

 2.勤務間インターバル制度導入の努力義務の創設−改正労働時間等設定改善法

         施行時期:2019年4月1日

  労働者の休息時間や生活時間の確保の観点から、勤務終了時刻から次の勤務開始まで少なくとも11時間のインターバルを取るように事業主に努力義務が課せられます。努力義務ですので、この改正で必ず対応しなければならないというわけではありません。

  例)

   定時就業時間が

     始業時刻:9:00   終業時刻:18:00  

   の事業所で終業時刻を越えて20:00まで残業をしたケース

   翌日の始業時刻(9:00)までは、休息時間が13時間のインターバルがあるので特に問題なし

   しかしながら、22:30まで残業した場合は…

   翌日の始業時刻(9:00)通りの出勤を求められると、休息時間が10.5時間しか確保できないということになるので、こういった場合は出勤時刻を繰り下げ等の措置を講じて、『少なくとも11時間のインターバルを空けるような体制を構築するように努めて下さい』という努力義務の設置になります。

 もちろん努力義務なので、法改正後に全ての企業にこういった措置を強制する強制法規ではありません。

ただし、こういった取り組みを行った企業には助成金の対象となる可能性が高いと思われます。

2018年度はこういった取り組みをした企業を対象とした『時間外労働等改善助成金ー勤務間インターバルコース』という助成金が設定されていました。

    詳細はこちら

 『働き方改革』で何かをしなければならないということがわかっていても、どこから手を付ければよいかわからないという経営者の方も多いと思います。当事務所では『働き方改革』に向けて、各企業さんにどういったアクションが必要になるのかを調査する無料の出張診断を行っております。大阪から遠方のお客様であっても交通費等の経費の折り合いが付くようであれば、対応させていただきます。この機会に是非ご利用下さい。  

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同一労働同一賃金の実現ー2020年(令和2年)4月改正パートタイム労働法、改正労働契約法等

雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金の実現)

    −改正労働契約法、パートタイム労働法(*)、労働者派遣法

  *パートタイム労働法の正式名称は今回の改正を機に“短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律”から“短時間労働者及び有期労働者の雇用管理の改善に関する法律”と名称が変わります。

 施行時期:2020年(令和2年)4月1日

   (中小企業には1年間の猶予措置あり:労働者派遣法を除く)

 “同一労働同一賃金の実現”を目指す今回の改正の大枠は5つあります。

  1.公正さを欠く(正規雇用者との)待遇格差の改善のための法整備

  2.派遣労働者についての待遇格差改善のための法整備

  3.非正規雇用者への待遇格差の説明義務の強化

  4.行政による履行確保措置と裁判外紛争解決手続きの提供

  5.非正規雇用労働者に関連する法律の統廃合

                       各々解説していきます。

 1.正規雇用者(=正社員)との公正さを欠く待遇格差改善のための法整備

 ベースにある考え方について

  今回の改正では、色んな概念や新しい用語等が出てくるので、他の労基法や安全衛生法の改正に比べてちょっと取っ付きにくい印象を持たれるかも知れません。ただ、ベースになる考え方は以下の概念になりますので、処遇の対処に迷いが出たときは、こちらの原則的な規定に立ち返ってみるといいかも知れません。

  “事業主は、その雇用する短時間・有期雇用者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者(=正社員)との待遇差について、職務の内容、職責の範囲、配置変更の有無やその範囲、その他の事情を懸案し、待遇の性質及び目的に照らして適切と認められるものを考慮し、不合理と考えられる待遇差を設けてはならない。”

  上記の考え方に合った、非正規雇用従業員の処遇しなければならないということです。

均等待遇と均衡待遇について

  まず、“待遇格差改善”を解説するにおいて、今回の法改正においての待遇の定義には“均等待遇”と“均衡待遇”の2つの概念があるということを理解しなければなりません。

 ・均等待遇

  正規雇用者(=正社員)と全く同等の待遇を求められること

 ・均衡待遇

  正規雇用者(=正社員)との待遇差は許容されるものの、不合理な差は禁止され、正規雇用者と業務内容や責任範囲等を比べた際に客観的に判断して合理的範囲の“均衡差”である待遇

 また、業務内容と責任範囲、人事的な運用等の諸条件の適用状況が正規雇用者と同じか異なるかによって、非正規雇用者を3つのタイプに分類し、“均等待遇”が必要なのか“均衡待遇”が必要なのかを判断していきます。

非正規労働者の区分とそれぞれの区分に求められる対応については以下の表をご参照下さい。

非正規労働者の区分(3タイプ) 該当条件  求められる処遇  具体的に求められる義務・努力義務
1.通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者

・職務内容(業務内容と責任範囲・程度)が正社員と同じ場合

      かつ

・人事的な仕組みや運用範囲(配置転換の際の変更範囲等)が正社員と同じ場合

 均等待遇  基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いの禁止
2.職務内容同一短時間・有期雇用者(1.に該当するものを除く)  ・職務内容(業務内容と責任範囲・程度)が正社員と同じ場合  均衡待遇

 ・職務遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施義務

・主な福利厚生施設の利用機会を与える義務

・基本給等の主な賃金の決定に際し、就業実態を勘案する努力義務

       など

 

3.上記1.2.のいずれにも該当しない短時間・有期雇用労働者  ・職務内容(業務内容と責任範囲・程度)が正社員と異なる場合 均衡待遇 

 ・主な福利厚生施設の利用機会を与える義務

・基本給等の主な賃金の決定に際し、就業実態を勘案する努力義務

2.派遣労働者についての公正さを欠く待遇格差改善のための法整備

 派遣労働者については派遣先の直接雇用労働者との不合理な処遇差の改善のために、以下の法整備が施行されます。

   *従来は配慮義務のみでしたが改正に伴い義務化されます。

義務の内容 具体的内容 義務の対象者
派遣労働者に対する均等・均衡待遇

・教育訓練

・福祉施設の利用

・就業環境の整備 等

派遣事業主
一定要件を満たす労使協定の締結による派遣労働者の処遇の決定

・賃金決定方法

・段階的・体系的な教育訓練の実施

(派遣先での教育訓練、福利厚生は除く)

派遣事業主
待遇に関しての情報提供義務(新設) 自社で直接雇用する労働者の待遇に関する情報を派遣元事業主に情報提供する義務 派遣となることが予定される事業所の事業主

3.非正規労働者に対する使用者側の説明義務の拡充

 正規従業員(=正社員)との待遇差について説明責任が拡充されます

 

賃金等主な待遇内容

(雇入れ時)

待遇決定に際しての考慮事項

(労働者の要求に応じて)

待遇差の内容・理由

(労働者の要求に応じて)

短時間労働者(パートタイマー) 従来より説明義務あり 従来より説明義務あり 法改正後説明義務が拡充
有期雇用者(契約社員等) 法改正後説明義務が拡充 法改正後説明義務が拡充 法改正後説明義務が拡充
派遣労働者 従来より説明義務あり 従来より説明義務あり 法改正後説明義務が拡充

 *パートタイム労働法(旧正式名称:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が有期雇用労働者に拡大されることを受け(『短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律』に改称)、従来短時間労働者に求められていた説明義務が有期雇用労働者にも拡大されます。

4.行政機関による履行確保措置、ADR(裁判外紛争解決手続き)のサポート

 法改正に伴い、同一労働同一賃金についても、労働局のあっせんとして裁判外紛争解決手続きの土俵に乗せることが可能となります。『均等待遇』『均衡待遇』や『待遇差の説明』等も都道府県労働局でのあっせんを希望する場合は対応可能となります。

5.非正規雇用労働者に関連する法律の統廃合

 前述の通り、従来略称で『パートタイム労働法』と呼ばれていた法律の正式名称が、『短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律』から『短時間労働者及び有期雇用者の雇用管理の改善等に関する法律』と変更されるに伴い、正規雇用労働者(=正社員)との待遇差解消の規定が充実していた『パートタイム労働法』の対象労働者に有期雇用労働者(=契約社員等)も含まれることとなります。これにより、有期雇用労働者(=契約社員等)の均衡待遇を定めていた労働契約法20条の条文は廃止される予定です。この統廃合により、従来労働契約法、パートタイム労働法の双方どちらにも規定されていなかった、有期雇用労働者の均等待遇の概念が明確化されることとなります。

 現状パート労働者や有期雇用労働者等の非正規従業員を抱えておられる企業さんは、2020年度以降はその労働条件の扱いに注意を払わなければならなくなってきます。就業規則や福利厚生、人事制度等の処遇に大きな影響を与える改正と言っても過言ではないと思います。

 多様な雇用形態の従業員をお抱えの企業様、法人様は各雇用形態に合わせた就業規則や処遇制度の再検討が求められます。当事務所では各雇用形態に合わせた就業規則や処遇制度の整備に関してもお力添えをさせて頂いております。

 また、当事務所では、この『同一労働同一賃金』の法改正に伴う準備を含めて、『働き方改革』の施行に伴い、どんな準備をすればよいのか、何が足りないのかという部分を無料で訪問診断させていただいております。大阪から遠方の事業者様であっても、交通費等の経費が折り合うようであれば、訪問させていただいております。

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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