この記事では外国人労働者を採用するための受け入れ体制をどのように整備していくかということを見てみていきたいと思います。

・会社の求める業務における能力基準や日本語力を明確化する

これは、外国人を採用する段階で最も重要になってくる要素です。特に日本語能力に関しては、周囲とのコミュニーケーションが取れる程度の日本語力でいいのか、それとも商談等の場できちんと交渉できる程度の日本語能力まで求めるのかで、採用に掛かる労力が大きく変わってくる可能性があります。

 

また、日本語能力の見極めをおろそかにして採用してしまうと、もし、配置された仕事に適性がないと判断せれた場合であっても、配置転換するにも適所が見つからず結局は解雇するしかないという結果にもなりかねません。

 

こういったことからも、採用後揉めないために、語学力を含めた能力をどの程度まで求めるのかという基準をしっかり明確に作っておくことは不可欠なわけです。

 

日本語能力の見極めは“今後の伸びしろ”等は考慮せず、面接段階での能力で判断してしまって構わないと思います。採用後、日本語を使って業務をこなしていったとしても、飛躍的なスキルアップはまず期待できないでしょうから。

 

・プライベートを含んだフォローアップシステムの構築

 言葉や文化の違う異国で働く外国人労働者にとって、就業に専念できる環境を提供するということは、なかなか難しいことだと思われますが、そういった意味で、ここは会社の上司もしくは同僚が外国人労働者の“衣食住”を含んだ生活の支援や世話役を買って出るようなシステムが会社にあれば望ましいでしょう。

 プライベートの支援の例としては、“住”の部分のサポートとしては賃貸住宅の保証人になってあげるであるとか、“食”の部分のサポートは、母国の料理が食べれるレストラン等のリサーチや母国の食材の入手経路のリサーチや手配のサポートその他の生活については外国語(母国語)の通じる病院の紹介等が挙げらます。

 こういった支援は、人的資産に余裕のない中小企業さんなんかは難しいかもしれないですが、特に高度専門労働者に対してはシステムを構築することによって、彼らが業務に集中できる環境を作り出し、能力を最大限に発揮できる可能性を秘めていると思います。

 

・法律上の必須事項

 これは邦人、外国人問わず、必要になることなのですが、労災事故予防のために、雇入れ時に安全衛生教育を実施することが法律で義務化されています。(労働安全衛生法35条)

 ただ、外国人労働者に対しては、教育をしても理解度がどれくらいあるのかということが懸念されます。よって、できれば、本人が理解できる言語での教材、レジュメで教育してあげれるような体制が作ればベストなわけです。もしくはフルでの対訳対応が難しければ、一部をイラスト化したりするのもいいでしょう。大事なことは会社が理解される努力を可能な限り行い、本人からも理解している旨のフィードバックがあることです。これは、安全衛生教育だけに限らず、業務のマニュアルも本人がわかる言語、もしくはイラスト対応してあげるとより親切でしょう。一度にそのような対応が行うことがマンパワー不足で難しければ、プライオリティをつけて、徐々にそのようなシステムを構築してあげることが大切です。

 

 また、これは雇入れ時の労働条件通知にも同じことが言えます。労基法15条で従業員を雇入れた際は、書面による労働条件の通知が事業主に義務付けられています。法律では特に“本人の母国語で”というところまでは義務付けられてはいませんが、ここは今後のトラブル発生の予防のために、本人の母国語で明示する努力はしておいた方がよいと思います。

 

 労働条件明示書(雇用契約書)やそれに変わって就業規則で条件明示することもあると思いますが、どちらにしろ、いきなり全ての項目を本人の母国語で対応することは難しいと思います。よって、労働条件の要になってくるような部分や、服務規律などで、どうしても遵守して欲しい項目等からプライオリティーをつけて対応する等、会社の身の丈にあった努力をしていく必要はあるでしょう。

当事務所では、労働条件通知書(兼雇用契約書)や就業規則等、労務管理用の書類の外国語翻訳、外国語対応のサポートも行っております。

(但し、対応言語は英語に限定させて頂いております。)

 

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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