合理的、科学的な残業時間(時間外労働)削減手法

経営管理学の技法を用いて合理的に残業時間を減らしませんか?

 生産性向上で成果や生産高を維持したままで、実労働時間の短縮を実現できる!!

 

 

企業が対策できる残業(時間外労働)削減方法は主に以下の2つの方法しかないと思われていました。

 1.法的時短(労働時間短縮)手法

 変形労働時間制や裁量労働制等を用い、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)の枠を超える事が可能な、労働基準法の例外部分を活用し、繁忙期に一時的に法定時間越える労働時間を増やしたり、労働時間の管理になじまない限定された職種に対して、自分の裁量で始業終業を決めれるような制度を導入する手法です。

 変形労働時間制の活用については、このページ内でも触れますが、この手法であれば、確かに労務人件費(時間外手当)の極端な高騰は防止できます。しかしながら、実質の労働時間を減らすわけではないので、従業員の疲弊度の改善や健康の面から見たリスク、職場全体の活気のなさ等は残念ながらこの方法だけでは改善できません。

 また、裁量労働時間制については法律に厳格に対象職種や導入方法について規定があります。残業手当抑制のためだけに安易に導入できる方法ではないということは理解しなければならないでしょう。

 

2.管理的時短(労働時間短縮)手法

 ノー残業デイの設置や残業の事前申告制、許可制等の社内、事業所内で独自のルールを設け、残業時間を抑制しようという手法です。この方法では、確かに、仕事もないのにダラダラ居残っているようなムダな残業については排除できますが、そもそも業務量自体が所定労働時間で処理しきれない、過重労働が常態化しているような事業所では、逆にこういったことをすると、従業員の負担がさらに増大することも考えられますので、この方法が本当にわが社に合っているのかどうか検討した上で導入を考えたほうがよいでしょう。

 

 上記2つの方法は、“ムダなダラダラ残業を廃止する”“極端な労務人件費の高騰を抑制する”という部分では、一定の効果があるのは事実です。導入にメリットが見出せる企業さん、事業所さんであれば検討する価値は充分にあります。

 ただし、双方ともに、実際に実労働時間を短縮するという方法ではありません。過重労働対策、従業員の健康被害対策、企業のコンプライアンス対策、ワークライフバランスや働き方改革への取組として見た場合は残念ながら、この2つの方法だけでは限界があると言わざるを得ません。

 

 科学的時短手法で実労働時間を短縮を実現!!

 上記の“法的時短”“管理的時短”に加え当事務所では、経営管理学に基づく『IE(Industrial Engeering)手法』という科学的な生産性向上のメソッドを用いて実労働時間の時短のコンサルティングを行います。

当事務所の“残業時間(時間外労働)削減コンサルティングサービス” は『法的時短』『管理的時短』『IE手法による実労働時間の時短』を三位一体でサポートいたします。

 

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法定労働時間と時間外労働

労働基準法では法定労働時間というものが設定されており、基本的にその時間を越えて従業員を労働させることができません。労基法32条)

その法定労働時間というのは、1日8時間、1週40時間(特定業種で10名未満の労働者しか使用しない事業所は例外で44時間)となっております。法定労働時間を越えて、従業員を労働させるためには、事業主と労働者代表とが残業時間の上限時間を書面により約束、協定し(これを36協定といいます)管轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。労働基準法36条)

上記の36協定を事業主と労働者代表が締結した場合に1日8時間、1週40時間の法定労働時間を越えて労働者を労働させることが、可能になります。ただし、この法定労働時間を超過した分の労働に関しては、割増賃金として通常の賃金の2割5分増しで払わなければなりません。(労働基準法37条)

残業手当のベースの計算としては(つまり1時間当たりの単価の出し方)としては、その月の全賃金から、1.通勤手当、2.家族手当、3.別居手当、4.子女教育手当、5.1ヶ月を超える期間ごとに支給される賃金、6.臨時に支払われる賃金、7.住宅手当 の7項目の手当を除外して出た額を月間の所定労働時間(月ごとで所定労働時間が異なる場合は1年間を平均した月間所定労働時間)で割ったものとなります。

法定労働時間を超過してしまった労働分に関してはこの計算額に1.25を掛けた額を時給として支払わなければならないわけです。

また、法定時間外労働に関しては、原則1分単位で労働時間をカウントしなければなりません。1日の超過時間を30分単位で切り捨てているようなケース、つまり、25分間残業した場合をゼロとみなし、30分以上残業しないと残業として認めないような扱いをしているような場合は、労基法37条の違反として刑事処罰や行政指導の対象になります。

 例外として一ヶ月単位の残業時間を合計し、30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げる処理に関しては、認められています。便宜上給与計算の煩雑さをこの処理により、回避することは可能であるということです。

以上のように、法律上、時間外労働が発生すれば、その労働時間に関しては時間外の割増賃金が発生してしまいます。

しかしながら、この不況下で奮闘されている、中小零細企業の事業主の皆様にとってみれば、やはりムダに発生する経費をできるだけ、きちんと対策、管理して運用していきたいとお考えのことだと思います。

昨今“サービス残業”という言葉をよく聞きますが、退職した労働者が在職中の未払いの時間外労働分の賃金の支払いを求めて、訴えを起こしたり労基署に駆け込むような事案が頻繁にあると聴いています。 

ここでは、ムダな経費、きちんと管理すれば発生しない経費を“サービス残業対策”と定義した上でそのヒントを以下にレクチャーしていきます。

 

 

 

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なお、当事務所では、従業員に時間外労働(残業)を行わせる際の要件となります、時間外労働に関する協定書(いわゆる36協定)の作成のアドバイスや作成代行も業務として承っております。従業員に法定労働時間を越えて、労働させるためには、36協定の締結は必須で、もし、協定なしに時間外労働を行わせれば、刑事処罰の対象になる可能性すらあるのです。

詳細はこちらから、お問い合わせ下さい。

変形労働時間制の導入

“サービス残業対策”として、まず最初に考えられるのは、いわゆる“変形労働時間制”の導入でしょう。

原則、労働期間は1日8時間、1週40時間以内という法律上の縛りがあるのは、前述した通りです。会社の所定労働時間としては、1日8時間、1週40時間を越えてはいけなくなっており、これを超える労働をする際は、その部分は“残業”という扱いになり、2割5分増しの割増賃金が発生してしまいます。

しかしながら、この“変形労働時間制”を導入することにより、例外的に1日8時間、1週40時間を越える所定労働時間を敷くことが可能になります。その前提として、“変形期間”の中で、1週平均40時間以下にしなければならないので、繁忙期に1日8時間、1週40時間を越える労働時間を設けた場合は、閑散期で労働時間を少なくして調整する必要はあります。

このシステムのメリットは、時期により繁忙期、閑散期がわりとはっきりしている場合であれば、繁忙期には法定労働時間を多めに設定し、そんなに忙しくない時期で、労働時間を少なめにすることで、調整が可能であるということでしょう。

この“変形労働時間制” の中で割りとポピュラーなのが、“1ヶ月単位の変形労働時間制”と“1年単位の変形労働時間制”です。それぞれのメリットや導入方法について、以下に説明していきたいと思います。(1週間単位というのもありますが、業種が特定されているため、このでの説明は割愛します)

 

1ヶ月単位の変形労働時間制

 変形期間を1ヶ月以内の期間として、その間の1週間の平均労働時間を40時間以内とする前提で、ある特定の日や特定の週を1日8時間、1週40時間を越えた所定労働時間を設定しても、法定の割増賃金を支払う必要がないのがメリットです。1ヶ月の中で、繁忙閑散が特定できる仕事に導入するとメリットが出ると思われます。 

例)経理を担当する従業員で、給与の締めから支払いまでの給与計算期間約5日程度が繁忙期、その他の時期はさほど忙しくないという場合は、その5日間を所定労働時間を10時間と設定し、他の労働日に関しては所定労働時間を7時間と設定する。

というような方法が取れるわけです。

1ヶ月の変形期間の内で、1週平均が40時間以下になればよいわけですから、いわゆる大の月(1ヶ月=31日の月)では

    40時間×(31日÷7日)≒177.14時間

が労働時間の総枠となり、この177,14時間の枠であれば、会社の所定労働日のうち、どのような労働時間を割り当ててもよく、ある特定の日や週の労働時間が1日8時間、1週40時間を越えていても、割増賃金を支払う必要はありません。

この1ヶ月単位の変形制の導入要件としては、労使協定の締結または、就業規則の記載となっています。労使協定、就業規則どちらでもよいのですが、導入するのであれば、労働時間に関することになるので、就業規則に記載しなければならないことになります。労使協定を締結したとしても結局就業規則も変えなければならないこととなり、2度手間になりますので、当事務所としては、就業規則での導入をお勧めしています。

就業規則作成のご案内に関してはこちらから

 

1年単位の変形労働時間制

 変形期間を1ヶ月を超え1年以内の期間を平均して、1週当たりの労働時間を40時間以内とする前提で、ある特定の日や特定の週を1日8時間、1週40時間を越えた所定労働時間を設定しても、法定の割増賃金を支払う必要がないのがメリットです。季節ごとに繁忙閑散がはっきりしている業種や1年を通じて繁忙期が予想できる業種、長いお盆休みや年末年始休暇を予定している‥等の事業所に向いているシステムです。また、隔週週休2日制を引いている事業所もこの制度を使っているところが多いように思います。

 この制度は1ヶ月を超える長期的な期間が対象になってきますので、一定の制限が事業主側に課せられています。例えば、対象期間中を平均して1週40時間以内であったとしても、各所定労働日の労働時間は原則10時間、週の所定労働時間は52時間を越えてはいけないことになっています。

この制度を導入する要件は、事業主と労働者代表の書面による締結をし(労使協定)、所轄労働基準監督署に届出なければなりません。また、労働時間に関することは、就業規則の絶対的記載事項に当たりますので、就業規則の見直しも必要になってきます。

 

当事務所では、1年単位の変形労働時間制の導入に関して、労使協定締結や就業規則の見直しについてご相談に乗らせていただきます。

導入に関するご相談はこちらから

 

残業を“許可制”に

サービス残業対策として、変形労働時間制の次に思いつくのは、残業を“許可制”にするということでしょうか?

“所定労働時間を超えて残業しなければならない場合は事前に直属上長に残業許可を申請しなければならない。”という条文を就業規則に設けておけば、上長の許可なしで残業できない体制は作れるかもしれませんね。

このような体制を作る副次的なメリットとしては、仕事の効率が上がるということが考えられます。許可制にすることによって、従業員の意識を“遅くまで残るのが美徳”という考え方から“早く終わらして、早く帰るのが美徳”という考え方にシフトさせることができるわけですから、能率は上がると思います。

ただ、この許可制を導入した際に“許可のない残業に対しては残業代を支払わない。”と記載されている就業規則をたまに見かけますが、このような労働時間の管理方法には賛成できないというのが、正直な感想です。

労基署に申告があった場合や実際に個別紛争になった場合は“許可がない残業なので、残業手当は払わない”という抗弁は通じないと思います。これは、事業主が従業員の残業を承認するには“残業命令による残業”“黙示の承認”という2つの考え方が存在するわけです。

事業主が従業員に対して、所定労働時間中にすまないような仕事量を与え、残業すること自体を黙認しているケースでは事業主の“黙示の承認”があったという解釈になり、残業代を払わなければならないという考え方が一般的です。

残業を許可制にして、労務管理すること自体は副次的な効果も含めてよい方法だと思いますが、サービス残業対策という観点でみるのであれば、労務管理や就業規則上でもう一工夫欲しいところです。

当事務所では、圧倒的な相談量に培われた、労務管理の知恵とノウハウを提供しております。サービス残業対策においても、きっと御社にとって役立つ情報が提供できると思います。

サービス残業対策でお困りの企業さんはこちらからご連絡下さい。

 

“休日”を“休暇”に替えて残業のベースを下げる

サービス残業対策の一つに“休暇”“休日”に替えるという方法があります。

これは既に、有給休暇の計画的付与のところでご説明しましたが、法律上の休日と休暇の定義が違うということで、“休日”を“休暇”に変更してやれば、残業代のベース、つまり、1時間当たりの単価が下げることができるという方法です。

こちらのページに詳細を記載しておりますので、ご覧下さい。

また、この方法を導入するには、労働者代表との書面での協定書と就業規則の変更が法的に必要になってきます。導入をご検討する際には、是非一度お声をお掛け下さい。

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“所定残業”“固定残業”“定額残業”という考え方

“サービス残業対策”で、よくコンサルタントや社労士の先生が提案される方法で“所定残業”“固定残業”“定額残業”という考え方があります。この方法というのは、残業時間を例えば、20時間なら20時間と固定して、どの月も20時間の残業があったものだとみなして、20時間分の残業代を固定的に毎月支給するというやり方です。

この管理方法に適する労働者というのは、ずっと外出をしている、あるいは直行直帰スタイルで社内で営業時間を把握できない営業社員や、スペシャリスト的な業種で仕事の進め方等を、事業主が指示するのではなく、労働者自身の裁量で決めていく必要がある、いわゆる“専門業務型裁量労働制”に該当する労働者の労働時間管理には向いていると思います。

 しかし、内勤で会社内で労働時間をきっちり把握できる状況の労働者もこのような“所定残業”“固定残業”という方法で労働時間管理をすることに関しては、私個人としては疑問を感じます。

と言いますのは“きちんと管理すれば発生しない無駄な経費の削減策”いう観点から見た場合にあまりメリットが出てこないわけです。

まず、所定残業20時間という決め事をするのであれば、例え20時間未満の残業しかない月であっても、“20時間分の残業手当は保障しますよ!”という労働者有利の約束事が出来上がってしまうわけです。

それにも関わらず、20時間を超過する月に関しては、例え“所定残業20時間”という決め方をしていたとしても、20時間超の部分は別で支払わなければ、労働基準法24条の“賃金全額払い”の違反行為と解釈される可能性があるわけです。

この場合、経営者が“うちは残業時間は月によって変動するけど、年間平均したら、月20時間くらいなんだから、20時間の所定残業代を月々払っていればそれ以上払う必要がないじゃないか!”という抗弁をしたとしても、その抗弁は通用しないでしょう。なぜなら、労働基準法24条で、“給与全額払い”“一定期日払い”の規定が謳われており、“一定期日(通常は1月)で締めた賃金に関しては全額払わなければならない”となっており、残業手当ももちろん給与の中の一つですから、この法則に従わざるを得ないのです。ですから、25時間残業したにも関わらず、所定残業分の20時間しか支給しないということは、この“賃金全額払いの違反”となる可能性が高いのです。

 

“20時間未満の残業でも20時間分支払わなければならない。”“20時間を越える残業にはその時間分きちんと払わなければならない。”ということになるのであれば、ムダをなくす対策としてはメリットはないのではないでしょうか?

このシムテムを提案されるコンサンルタントの方が、“労務管理や給与計算が簡略化できて楽になりますよ!”というメリットを強調されますが、このシステムを取り入れたところで、経営者が従業員の労働時間を把握する義務が免除されるわけではありません。所定残業で定められた時間を超えた場合はその時間分の全額の残業代を支払う必要があるわけですから。労務管理の煩雑さの解消にメリットがあるのかどうかということに関しては、個人的には疑問を感じます。

以上のような理由で、当事務所ではいわゆる“みなし労働時間制”に該当する営業職の方や、“裁量労働制”に該当する専門職以外の従業員の方の、“所定残業”“固定残業”の導入に関しては推奨しません。前述した“変形労働時間制”や“許可制”等の合理的なサービス残業対策を立てていくべきだと考えます。

 

最近のトレンドでは、司法の場でこの“固定残業代” “定額残業代”の考え方は否定される傾向が強いです。

もはや定額残業代はリスクの温床にしかならないでしょう。

                                    

        『“定額残業代”の考え方が否定されつつあります』の記事へ

 

当事務所では定額残業代のリスクを回避する賃金制度再構築の提案を行っております。

                  

『賃金制度改訂サービスー未払い残業代請求のリスク回避のために!!−』のページへ

住宅手当を巡る残業手当の適正化

 住宅手当の取扱いの誤解

私が色んな企業さんを訪問させていただいて感じるのが、経営者の皆さんは住宅手当の取扱いに関して、誤解されているケースが非常に多いように思います。住宅手当が残業代手当のベースに組み込む必要があるかどうかという点についての誤解です。これは、住宅手当が、月々の家賃額や住宅ローン返済額に対して、変動するような支給基準になっているのであれば、残業手当のベースから除いて構いませんが、それ以外の支給基準、例えば、独身者に対しては一律OO万円、扶養家族がいる従業員に対しては一律OO万円というような支給基準になっておったり、まったく支給基準を設けないで、名目だけ、住宅手当名目の手当を一律OO万円全社員に支給しているようなケースでは、これは、残業代の計算のベースにしなければなりません。(平一一・三・三一 基発一七〇号)

 

にも関わらず

 “住宅手当という名目であれば、残業手当の計算から外していいんだ”

          という誤解をさせている経営者の方が非常に多いように感じます。

 

トータル賃金を上げるための方策としての住宅手当の設置

 こういった、誤解をされている経営者の皆様の中には、例えば、良い人材を獲得するために、月極めの賃金全体としては、水準以上になるような設定にして、ただし基本給部分を高額とすると、残業手当のベースとしなければならなくなり人件費の高騰が不可避となる。よって、残業手当の計算の対象とならない、住宅手当を設置することによって、月額全体の賃金水準を確保しようというような、画策をされてきた結果なのだと思います。

 残業代を含んだ、人件費の高騰は避けたいが、良い人材に来て欲しいので、一定の給与水準は保たなければならない。そういった経営者側のジレンマがこのような誤解に走らせたのでしょう。

 (私が訪問した企業さんでこのような誤解をされていた経営者の方のほとんどが、このようにおっしゃってられました。)

 

法律通りに残業代を払うとこれだけの人件費の高騰になります。

 例えば、従業員100名の企業で住宅手当を全社員に一律、3万円支給していたケースを例にとって考えると…。

 

 月間所定労働時間が約165時間とした場合

 一律の住宅手3万円の残業手当1時間分の算定基礎額は…

  30,000÷165×1,25=227円

  仮に従業員一人平均月間20時間の残業をしていたとすると…

  227円×20時間×100人=454,546円

  法律上は月間約45万円の余分な残業代が発生しているということになってしまうのです。

 もし、この一律支給の住宅手当を残業手当の対象と計算していなくて、そのことを労基署から指摘され、支払うように是正指導がされたとしたら、法律上は2年間の遡りになりますので

  454,546円×24ヶ月分=10,909,091円

 

 と1千万以上の支払命令を受ける可能性のゼロではないのです。

 

 このことから分かる通り、住宅手当の定義や扱いを誤ると大変なことになってしまう可能性があるわけです。

 でも今さら、住宅手当を家賃額などにリンクするように、設定しなおすとしても、どのように設定していいのか?どうすれば、残業手当の基礎から外すことができるのか?対処に困惑される経営者の方もおられるでしょう。

 当事務所には対処法のノウハウ、知恵がございます。

 住宅手当を含んだ、賃金設計上の人件費、労務費の適正化は是非当事務所にお任せ下さい。

 お問い合わせはこちらから

 

 

“定額残業代”の考え方が否定されつつあります

ご注意を!!

 司法の場で“定額残業代”の考え方が否定されつつあります!!

 今のやり方で労務管理や残業代計算の運用を続ければ、司法の場に引きずり出された場合に、確実に2年遡った未払い残業代の支払いを命じる判決が下されるだけではなく、付加金(未払い残業代と認定された額と同額)を加えた額、つまり訴訟で争われた額の倍額の支払いを命じられる可能性もあるのです!!!

 

 当事務所では何の根拠もなくこういった注意喚起を促しているわけではありません!!

 定額残業代に関しての司法判断が昨今、劇的に変化してきているのです!!

 この記事ではそういった司法判断の変化を解説し、今後どのような労務管理、残業代計算の方法を採るべきなのか、経営者の皆様にアドバイスしていきます。

 

定額残業の従来の考え方

 これまでは、定額残業代という概念は行政の考え方でも、“労働者に対して実際に支払われた定額残業代が法定上の計算による割増賃金を下回らない場合は、法37条(割増賃金の条文)の違反とはならない(昭24.1.28基収 3947号)”と、その考え方は肯定されてきました。

 同様に裁判例においても上記の考え方は“給与のうちの割増賃金部分が賃金規程等で明確に区分されて”いれば、定額残業代を認めるという司法判断が多く見られました。(小里機材事件:最高裁昭和63.7.14、関西ソニー販売事件:大阪地裁昭和63年。10.26)

 

しかしながら、平成24年3月8日の最高裁判決である“テックジャパン事件”が転機となり、その後の各地の地裁判決にもその考え方が影響、波及しつつあります。

 

テックジャパン事件(最高裁 平成24.3.8)の判決内容とは。。。

 基本給に一定時間の割増賃金(定額残業代)が含まれているとする会社の主張を否定!!所定内労働に対する賃金部分と、時間外労働に対する割増賃金部分を明確に区分できないことが理由とされました。

 それに加え、当事件の裁判官は補足の意見書の中で以下のように述べました。

 “給与計算をする上で便利という理由で、毎月の給与の中にあらかじめ一定時間(例えば10時間分)の残業手当が入っているとして給与が支払われている事例(いわゆる定額残業制)もみられるが、その場合は、そのことが雇用契約上も明確にされなければならないと同時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示されなければならないだろう。さらに、10時間を超えて残業が行われた場合には当然、残業手当の支給日に別途10時間を超過した分を上乗せして残業手当を支給する旨もあらかじめ明らかにされていなければならない。本件の場合、そのようなあらかじめの合意も支給実態も認められない。”

 

 定額残業について事前の会社と労働者との雇用契約における合意がなかったことの他、定額残業代の基礎とされた一定時間(例えば10時間)を超過しても、別途超過分の支払いが実態としてなかったことが、会社側の主張が退けられたと考えられます。

『定められた時間を超過した際に差額を払っている実態があること。』が判断材料に追加されたわけです。

 

 これまでの判例と比べて、“支給実態の有無”まで言及されているところに司法判断の変化が見て取れます。

 

 この“テックジャパン事件”以降の地裁、高裁での裁判例でも、この最高裁での判断に多大な影響を受けているのがよくわかります。

   数例いっしょに見ていきましょう。

 

 地裁判例その1)

 A社事件(東京地裁 平成24.8.28)

 この事件では、定額残業代としての営業手当が割増賃金として有効なのかどうかが争われました。会社の賃金規程で“営業手当は月30時間の時間外手当の相当分として支給する”との記載があり、支給根拠と時間も明確であるのに、裁判所は会社に未払いの割増賃金の存在を認め、ほぼ同額の付加金の支払いも命じました。つまり時間外労働分の倍額の支払いを会社に命じたわけです。(会社側敗訴)

 

 この事件で裁判所は営業手当が定額残業代としての機能を果たすための必ず考慮しなければならない2点の指針を示しました。

 @実質的に見て、営業手当等の他の名目の手当てが時間外労働の対価としての性格を持っていること。

 A支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示され、定額残業代によってまかなわれる残業時間数を超過して残業した場合は別途清算する旨の合意があるか、少なくともそういった扱いが確立していること。

 

 この@Aの考えに照らし合わせた結果、この営業手当は時間外手当としての機能を有しないと判断されました。

 なぜかというと…。

 @に関しては

  ここでいう営業手当は営業社員が顧客と商談する際にかかる諸経費をまかなっている趣旨を含んでいたことと、別の部署の従業員も時間外労働に従事しているにもかかわらず、営業手当も営業手当と同視させるような別の手当が支払われているわけではない。よって、営業手当は、営業社員が営業活動を行うための経費の補充または一種のインセンティブ的な意味合いで支給されていたと見るのが相当であり、実態として時間外労働の対価としての意味合いを持っていたとは認めることはできない。

 Aに関しては

  営業手当の中に含まれていたとされる、“30時間分の時間外手当”との差額の生産が必要な月、つまり時間外労働が30時間を超える月がかなりの月存在したが、会社が差額の清算を行った形跡がなかったこと。

 

 この事件の中では、もし会社がAの要件を突っ込まれないような労務管理を行っていたら、すなわち、月間の時間外労働が30時間を超えた月に対しては不足額の清算をきちんと行っておれば、裁判所の見解は異なったものになっていたかもしれません。

 

 また、営業社員に対して、営業手当と称する手当で、残業代の一部を賄っている手法を採っている企業に対しても、その扱い方に注意を促すように一石を投じた判例でもあったと思います。

 

地裁判例その2) 

・Wホテル事件(札幌高裁 平成24.10.19)

 職務手当と称される手当の中に、95時間分の定額残業代が込まれているとする会社の主張を一部認めた内容となっています。

 95時間分のうち、労働基準法36条の趣旨ならびに行政解釈でも時間外労働の上限とされる45時間分を有効とし、残りの50時間については無効としました。なお、95時間分を超える労働に対しても追加の支払いはされていなかったようです。

 

 判決文より

  企業が、賃金計算を簡略化するために、毎月、一定時間までの時間外労働までの時間外労働の対価として(時間外労働がその一艇時間に満たない場合でも)定額の時間外賃金を支払う旨を労働者と合意し、または就業規則でその旨を定めることは、それ自体が違法であるとはいえない。

 

  この判例では、定額残業代の考え方(従来の通達上の考え方)を一部肯定していますが、テックジャパン事件以降はこういった考え方はレアケースの判例と言えるでしょう。

 

地裁判例その3)

 ・E社事件(東京地裁 平成25.2.28)

 定額残業代である精勤手当の割増賃金としての有効性について争われ、裁判所は会社の主張を徹底的に否定した判例。

 

 E社の給与規定13条で『会社は、営業社員について超過勤務手当に代えて、精勤手当を定額で支給する。なお超過勤務手当が精勤手当を超える場合にはその差額を支給するものとする』とされていました。

 

 会社の主張通り、“精勤手当が超過勤務手当の一部であるとする”という合意が労使間で成立するには、以下の@〜Bの要件を満たすことが不可欠であり、実態はそうなっていないので、無効であるとし、未払いの割増賃金の支払いを命じました。

 @この“精勤手当”が実質的に時間外労働の対価としての性質を有していること、つまり…

  ・時間外労働に従事した従業員だけを対象に支給されなければならないこと

  ・時間外労働の対価以外に合理的な支給根拠(支給の趣旨、目的)を見出すことができないことが必要であること。

 

 A定額残業代としての基準法37条に則った額が支払われているか否かを判定することができるように、その契約(合意事項)の中に明確な指標が存在していること。つまり…

 その精勤手当の定額制が認められ、その額が何時間分の時間外労働に相当するのかが指標として明確にされていること。

 

 Bその精勤手当(固定額)が基準法37条で計算した額を下回る場合は、その差額をその精勤手当の支払時期に清算するという合意が存在するか、あるいは少なくとも、そうした取扱いが確立していること。

  ⇒実際には差額精算の合意ないし取扱いが存在した証拠はなかった。

 

 これ以外にも、給与規定13条でこの精勤手当の支給対象が営業社員となっているにも関わらず、この原告の元社員が営業社員ではなかった点等も考慮された結果、裁判所は原告の元社員の主張を完全に支持し、会社側に未払い残業代及び、それと同額の付加金(1円単位まで)の支払いを命じました。

 

 上記の判例をご覧いただいて、お分かりのように、“テックジャパン事件”以降、昨今の傾向として、定額残業代の否定判例が顕著に増加しています。

 

 最高裁判例が出た以上、おそらく、定額残業代の考え方に、判例に準じた一定の制限をかける行政通達が出てくる可能性は否定できません。。

 

 当事務所では定額残業代のリスク回避を行い、未払い残業請求問題を解決できる賃金制度設計のお手伝いをさせて頂いております。

                    

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