住宅手当の取扱いの誤解

私が色んな企業さんを訪問させていただいて感じるのが、経営者の皆さんは住宅手当の取扱いに関して、誤解されているケースが非常に多いように思います。住宅手当が残業代手当のベースに組み込む必要があるかどうかという点についての誤解です。これは、住宅手当が、月々の家賃額や住宅ローン返済額に対して、変動するような支給基準になっているのであれば、残業手当のベースから除いて構いませんが、それ以外の支給基準、例えば、独身者に対しては一律OO万円、扶養家族がいる従業員に対しては一律OO万円というような支給基準になっておったり、まったく支給基準を設けないで、名目だけ、住宅手当名目の手当を一律OO万円全社員に支給しているようなケースでは、これは、残業代の計算のベースにしなければなりません。(平一一・三・三一 基発一七〇号)

にも関わらず

 “住宅手当という名目であれば、残業手当の計算から外していいんだ”

          という誤解をさせている経営者の方が非常に多いように感じます。

トータル賃金を上げるための方策としての住宅手当の設置

 こういった、誤解をされている経営者の皆様の中には、例えば、良い人材を獲得するために、月極めの賃金全体としては、水準以上になるような設定にして、ただし基本給部分を高額とすると、残業手当のベースとしなければならなくなり人件費の高騰が不可避となる。よって、残業手当の計算の対象とならない、住宅手当を設置することによって、月額全体の賃金水準を確保しようというような、画策をされてきた結果なのだと思います。

 残業代を含んだ、人件費の高騰は避けたいが、良い人材に来て欲しいので、一定の給与水準は保たなければならない。そういった経営者側のジレンマがこのような誤解に走らせたのでしょう。

 (私が訪問した企業さんでこのような誤解をされていた経営者の方のほとんどが、このようにおっしゃってられました。)

法律通りに残業代を払うとこれだけの人件費の高騰になります。

 例えば、従業員100名の企業で住宅手当を全社員に一律、3万円支給していたケースを例にとって考えると…。

 月間所定労働時間が約165時間とした場合

 一律の住宅手3万円の残業手当1時間分の算定基礎額は…

  30,000÷165×1,25=227円

  仮に従業員一人平均月間20時間の残業をしていたとすると…

  227円×20時間×100人=454,546円

  法律上は月間約45万円の余分な残業代が発生しているということになってしまうのです。

 もし、この一律支給の住宅手当を残業手当の対象と計算していなくて、そのことを労基署から指摘され、支払うように是正指導がされたとしたら、法律上は2年間の遡りになりますので

  454,546円×24ヶ月分=10,909,091円

 と1千万以上の支払命令を受ける可能性のゼロではないのです。

 このことから分かる通り、住宅手当の定義や扱いを誤ると大変なことになってしまう可能性があるわけです。

 でも今さら、住宅手当を家賃額などにリンクするように、設定しなおすとしても、どのように設定していいのか?どうすれば、残業手当の基礎から外すことができるのか?対処に困惑される経営者の方もおられるでしょう。

 当事務所には対処法のノウハウ、知恵がございます。

 住宅手当を含んだ、賃金設計上の人件費、労務費の適正化は是非当事務所にお任せ下さい。

 

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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