スタッフにお店の営業時間の全ての時間帯に出勤させてもよいのか?
−法定労働時間の縛りー
(**こちらの記事は、美容室、美容院の店舗に関して記載していますが、基本的には店舗型販売業で、業種が商業の事業所には基本的に同様の考え方になります。ご参考になさってください。)
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美容院、美容室のオーナーの皆さんにまず知っていただきたいのが、労働基準法には一定の労働時間の縛りがあるということです。
原則 1日8時間、1週間40時間以内、
例外 1日8時間 1週間44時間以内 (1店舗のスタッフの人数が10名に満たない場合)
となっており、法律上は何の手続もせずに、上記の時間を超える労働をスタッフにさせてしまうと、法に抵触する行為となってしまいます。(労働基準法32条)
美容院、美容室は1店舗自体の規模がそんなに大きいお店は昨今少ないと思います。
スタッフの数が増えてくれば、1店舗自体の規模を拡大するよりは、2号店、3号店へと展開していくオーナーさんが多いと思われますので、大半の美容室、美容院では、1店舗あたりの従業員数は10名未満の規模ではないかと思われます。
ただ、最近はネールサロンを併設されている美容院さんも結構見受けられますので、一概には言えないかもしれませんが、1店舗あたり10名以上か10名未満かというところが、労働時間設定の1つの大きな分岐店となります。
*労働基準法では、労働者数は1企業全体でカウントするのではなく、1事業所、つまり美容室などであれば、1店舗あたりの人数で10名以上か10名未満かを見ていきます。
*労働者数をカウントするに当たっては、正社員だけを労働者数にカウントすればよいわけではなく、パート、見習い等全ての従業員数をカウントしなければなりません。(一時的に短期雇用されている従業員は除きます。)
さて、貴店がこの法律基準であるところの、1日8時間、1週40時間(10名未満は44時間)を遵守できているかどうかを検証していかなければなりません。以下に例を取って説明していきます。
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例)
営業時間 9:00から19:00(受付終了)
定休日 毎週月曜日と月2回火曜日(月6日から7日)
としている場合、美容師やスタッフを営業時間の全ての時間帯に常駐させてもよいか??
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上記は比較的と一般的な、美容院、美容室の営業形態だと思うのですが、この営業時間の全ての時間帯に美容師さんや、スタッフを常駐させた場合、法律的にどのようになるのかという部分を検証していきます。
この場合、朝9時から少なくとも夜の7時(19時)までの10時間の拘束という前提になります。休憩時間をどのような形で与えるかという部分にもよってきますが、仮に1時間与えるとしても10時間拘束、9時間労働という形になりますので、1日8時間という法定労働時間を超過してしまうので、法律に抵触しNGとなってしまいます。
休憩時間を多めに与えたりして、拘束時間は10時間であるけれども、実働時間が1日8時間という形で調整できたとしても、1週間6日労働の週がある限りは、8時間×6日=48時間/1週間となり、1週間の法定労働時間であるところの、40時間(1店舗10名以上)又は44時間(1店舗10名未満)を上回ってしまうため、これもNGとなってしまいます。
*休憩時間に関しては、詳細に後述しますが、労働基準法上にきちんとした概念があり、ただ単に施術を行っていないお客様の手待ち時間を積み上げていけばよいというものではありません。
また、受付が19時までとしている店舗では、19時ぎりぎりの来客にも対応しなければならない状況となってしまい、いくら、1日8時間労働で調整していたとしても、19時以降に来客対応しなければならないケースを想定していないと、その部分は法定時間外の超過労働となってしまうわけです。
こういった状況を法律を遵守する形にもっていく方法は2つあります。
1.勤務シフト表で従業員の出退勤時間を管理し、営業時間の範囲内で、各スタッフが1日8時間、1週間40時間又は44時間(1店舗10人未満)を超えない範囲内で労働時間を設定していく。
2.変形労働時間制を導入し、1日8時間、1週40時間(44時間)を超える日あるいは週があっても、1週平均40時間(44時間)以下になるような形態の労働時間を設定していく。
1の方法を採用すると、スタッフに営業時間の全ての時間帯に勤務させることは理論上不可能になりますので、当日になってからのお客様の特定の美容師さん目当ての来店や時間指定の予約に対応が取れない可能性が出てきます。
よって、美容院、美容室という特殊なスタッフ管理、労務管理をしなければならないという状況を考えると、ここは、変形労働時間制(特に1ヶ月単位の変形労働時間制)の導入によって管理していきたいところです。
美容室における変形労働時間制の労務管理の利点や運用方法に関しては後の記事に解説を加えますが、変形労働時間制の一般的な解説についてはこちらを参照下さい。


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