スタッフにお店の営業時間の全ての時間帯に出勤させてもよいのか?

  −法定労働時間の縛りー

   (**こちらの記事は、美容室、美容院の店舗に関して記載していますが、基本的には店舗型販売業で、業種が商業の事業所には基本的に同様の考え方になります。ご参考になさってください。)

 

 美容業で新規の施術者数、前年比31%アップフィットネスクラブで新規会員獲得者数、前年比36%アップ!! スタッフの行動の質を上げ、業績アップに結びつける教育スキーム、ただいま公開中!!

 

 美容院、美容室のオーナーの皆さんにまず知っていただきたいのが、労働基準法には一定の労働時間の縛りがあるということです。

 原則  1日8時間、1週間40時間以内、

 例外  1日8時間 1週間44時間以内 (1店舗のスタッフの人数が10名に満たない場合)

 

 となっており、法律上は何の手続もせずに、上記の時間を超える労働をスタッフにさせてしまうと、法に抵触する行為となってしまいます。(労働基準法32条)

 美容院、美容室は1店舗自体の規模がそんなに大きいお店は昨今少ないと思います。

 スタッフの数が増えてくれば、1店舗自体の規模を拡大するよりは、2号店、3号店へと展開していくオーナーさんが多いと思われますので、大半の美容室、美容院では、1店舗あたりの従業員数は10名未満の規模ではないかと思われます。

 ただ、最近はネールサロンを併設されている美容院さんも結構見受けられますので、一概には言えないかもしれませんが、1店舗あたり10名以上か10名未満かというところが、労働時間設定の1つの大きな分岐店となります。

 

 *労働基準法では、労働者数は1企業全体でカウントするのではなく、1事業所、つまり美容室などであれば、1店舗あたりの人数で10名以上か10名未満かを見ていきます。

*労働者数をカウントするに当たっては、正社員だけを労働者数にカウントすればよいわけではなく、パート、見習い等全ての従業員数をカウントしなければなりません。(一時的に短期雇用されている従業員は除きます。)

 

 さて、貴店がこの法律基準であるところの、1日8時間、1週40時間(10名未満は44時間)を遵守できているかどうかを検証していかなければなりません。以下に例を取って説明していきます。

========================================

 例)

  営業時間 9:00から19:00(受付終了)

  定休日  毎週月曜日と月2回火曜日(月6日から7日) 

  としている場合、美容師やスタッフを営業時間の全ての時間帯に常駐させてもよいか??

========================================

 上記は比較的と一般的な、美容院、美容室の営業形態だと思うのですが、この営業時間の全ての時間帯に美容師さんや、スタッフを常駐させた場合、法律的にどのようになるのかという部分を検証していきます。

 

 この場合、朝9時から少なくとも夜の7時(19時)までの10時間の拘束という前提になります。休憩時間をどのような形で与えるかという部分にもよってきますが、仮に1時間与えるとしても10時間拘束、9時間労働という形になりますので、1日8時間という法定労働時間を超過してしまうので、法律に抵触しNGとなってしまいます。

  休憩時間を多めに与えたりして、拘束時間は10時間であるけれども、実働時間が1日8時間という形で調整できたとしても、1週間6日労働の週がある限りは、8時間×6日=48時間/1週間となり、1週間の法定労働時間であるところの、40時間(1店舗10名以上)又は44時間(1店舗10名未満)を上回ってしまうため、これもNGとなってしまいます。

 *休憩時間に関しては、詳細に後述しますが、労働基準法上にきちんとした概念があり、ただ単に施術を行っていないお客様の手待ち時間を積み上げていけばよいというものではありません。

 

 また、受付が19時までとしている店舗では、19時ぎりぎりの来客にも対応しなければならない状況となってしまい、いくら、1日8時間労働で調整していたとしても、19時以降に来客対応しなければならないケースを想定していないと、その部分は法定時間外の超過労働となってしまうわけです。

 

 こういった状況を法律を遵守する形にもっていく方法は2つあります。

 1.勤務シフト表で従業員の出退勤時間を管理し、営業時間の範囲内で、各スタッフが1日8時間、1週間40時間又は44時間(1店舗10人未満)を超えない範囲内で労働時間を設定していく。

 

 2.変形労働時間制を導入し、1日8時間、1週40時間(44時間)を超える日あるいは週があっても、1週平均40時間(44時間)以下になるような形態の労働時間を設定していく。

 

 1の方法を採用すると、スタッフに営業時間の全ての時間帯に勤務させることは理論上不可能になりますので、当日になってからのお客様の特定の美容師さん目当ての来店や時間指定の予約に対応が取れない可能性が出てきます。

 よって、美容院、美容室という特殊なスタッフ管理、労務管理をしなければならないという状況を考えると、ここは、変形労働時間制(特に1ヶ月単位の変形労働時間制)の導入によって管理していきたいところです。

 

 美容室における変形労働時間制の労務管理の利点や運用方法に関しては後の記事に解説を加えますが、変形労働時間制の一般的な解説についてはこちらを参照下さい。

           “変形労働時間制の導入”の解説記事

 

 当事務所では、美容室、美容院の経営者の皆様に、労務管理の勘所、知恵を提供しております。お問い合わせはこちらから(以下のバナーをクリック下さい。)

      これだけでお店を守れる、オーナーさんの強い味方!!

美容院にありがちな揉め事の予防に特化した就業規則を安価で提供中。

    超廉価版就業規則“就業規則・ザ・セミカスタム”の紹介記事はこちらから

    

  この記事が含まれるページ全体を閲覧する場合はこちらから

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

免責事項

当ホームページは情報の掲載に関しては、万全を施すべく尽力しておりますが、サイト運営者の私見に基づく記述も含まれるため、全ての事案に対しての絶対の保証をしているわけではございません。また、法改正や制度変更の際は記事の更新が遅れることがあります。当ホームページ掲載の情報の取扱いに関しては、閲覧者の責任においてお扱いいただきますようにお願いいたします。当ホームページ掲載情報の扱いに際し、個人もしくは法人が何らかの損害を被ったとしても、児島労務・法務事務所ではその責任を負いかねます旨予めご了解下さい。

Copy Right:児島労務・法務事務所 2008

当サイト掲載コンテンツの全部または一部の無断複写・転載・転記を禁じます。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
06-6673-7856

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝祭日

大阪の社労士、就業規則の児島労務・法務事務所のホームページです。
就業規則の作成・変更を主力業務としている、大阪市住吉区の社会保険労務士です。元労働基準監督署相談員・指導員の代表社労士が長年の経験を活かし、御社にフィットする就業規則・賃金制度をご提供します。

サポートエリア)
最重要エリア)大阪市、堺市、吹田市等を含む大阪府下全域
重要エリア)京阪神地区、奈良地区
*オンライン(Zoom)でのお打合せにより就業規則作成、賃金制度構築等のサービスは全国対応可能です。大阪より遠方のお客様もお気軽にお尋ねください。

サービス内容のご質問、お見積もり依頼歓迎。

込み入った事案の労働相談は必ず事前予約下さい。(飛び込み対応は致しません)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

06-6673-7856

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝祭日は除く

ごあいさつ

大阪の社労士、行政書士の児島です。私は10期勤めた労基署の相談員時代に、通算件数15,000件以上もの労働相談を受けてきました。また、年間に300件以上の民間企業・法人の就業規則のチェックを行っており、これらの経験で培った、労働トラブルの予防に対する引き出しの数の圧倒的な多さが当事務所の武器です。

就業規則の
児島労務・法務事務所

住所

〒558-0045
大阪市住吉区住吉2-5-28

営業時間

9:00~18:00

定休日

土日祝祭日