業務情報、顧客情報の漏洩はどのようなリスクがあるのか?

業務情報の漏洩、流出は企業にどのようなマイナスのインパクトを与えるのか?

 こちらの記事では情報漏えいや流出に関して、具体的に企業がどのような負のインパクトを背負うことになるのかということについて解説を加えていきたいと思います。

 情報漏えいにのために、企業が背負うダメージは大きく3つに分類できます。 

 風評被害も含めた企業の信用の失墜のダメージ

 賠償等による金銭的なダメージ

 (流出したノウハウで)将来得られていたであろう利益(遺失利益

 ①、②に関しては、主に顧客の個人情報の漏洩に関して、③に関しては主に企業の知的財産やノウハウの流出に関してということで見ていけば、イメージしやすいんじゃないかと思います。

 それぞれに関して見ていきたいと思います。

 ①(風評被害を含んだ)企業の信用失墜

 企業は取引先、お客様を含んだ、色々なステイクホールダー(関連先)とつながることで、その企業活動が成り立っています。お客様からは“あの会社は名が通っているから、商品も安心できる”とか“あのメーカーは品質保証体制がしっかりしているからあそこの商品は納入しても大丈夫だ”というプラスイメージや安心感を与えることで、売り上げや利益獲得につながります。

 そのプラスイメージや安心感は、“あの会社なら、自分の個人情報、つまり、氏名や住所、生年月日、メールアドレスやクレジットカードの番号を教えても大丈夫だろう”、“あそこの料亭、料理店なら、秘密に進めたい重要人物との会合や恋人、不倫相手と食事したとしても、絶対に外に漏れることはないだろう。というその企業の商品への購買意欲の向上や、その企業と取引しても大丈夫だという信頼感につながります。

 それが一たび、個人情報や企業情報が外部に漏えいしたとなれば、今まで蓄積していた、お客様、一般の消費者、取引先を含んだステイクホルダーとの信頼関係が一気に崩れてしまいます。 

 つまり、お客様、取引先を含んだ利害関係者の全てがその企業に対して“不安”を抱くわけです。

 また、ネットの発達した現代においては、こういった企業の不祥事はSNSや掲示板サイト経由で直ちに拡散してしまう傾向がありますし、もっと恐ろしいのは、それに乗じて、あることないことを拡散する連中も存在します。それが事実かデマかということが2の次となってしまい、情報だけが独り歩きしてしまいます。こういった“風評被害”も取引先、お客様を“不安”に拍車をかけてしまうことも十分にありえるのです。

 例え、こういった場合であっても、知名度のある大企業であれば、その“不安”を従来からある“ブランド力”が上回れば、痛い打撃であったとしても、会社の存続に影響するような致命的な打撃とまではならない可能性もあるでしょう。

 しかしながら、そもそも有名企業、大企業ほどのブランド力のない中小企業がお客様、取引先にこういった“不安”を抱かれてしまった場合はどうでしょうか?

 その会社との情報のやり取りに対して警戒心を持たれてしまうわけですから、情報のやり取りを前提とした、取引や商品の購入に対して、2の足を踏まれてしまいことは間違いありません。これが“顧客離れ”という痛手を招き、売上、利益が獲得することができなくなり、会社存続の重大な危機となるわけです。

 ②賠償等による、金銭的なダメージ

 一たび企業がお客様の個人情報を漏えいさせてしまったとすれば、どれくらいの金銭的なダメージを受けてしまうのでしょうか。以下のような支出が発生することがシュミレーションできます。

  ・外部調査会社への情報漏えい状況や原因の特定等の調査にかかる調査委託費用

  ・マスコミ対策のための広報、メディアコンサルタントに対する相談費用

  ・謝罪広告などの広告費用

  ・再発防止のための制度を構築するための構築費用

  ・情報漏えいをしてしまった相手方に対しての損害賠償費用

                       といった損失が考えられます。

 損害賠償の費用としては、日本国内では一般的に個人情報漏洩についての賠償額が一人当たり5,000円から5万円程度くらいの範囲が相当とされています。

 また、こういったことは、自社のお客様等の個人情報の漏洩に限定されるわけではありません。例えば、ある企業から技術提供を受けていたり、共同開発のパートナー企業であったり、取引先やパートナーから預かっている情報やノウハウを何らかの不注意で漏洩させてしまった場合の、金銭的な損失は自社の情報漏洩の場合の金額の比にならないくらいに相当すると考えられます。

 もし、中小企業が取引先やパートナー企業から預かっているノウハウを流出してしまったら…。莫大な金額の損害賠償のその先に待っているものは…“倒産”といっても過言ではありません。

 ③流出したノウハウで本来得られていたであろう利益(遺失利益)

 これは、何らかの先進的なテクノロジーやノウハウを持っていたり、ある分野でシェアを独占的に持っているオンリーワン企業さんが、何らかの情報流出の予防対策を講じなければ、こういった被害を被ってしまうということになってしまします。

 企業は、そのテクノロジーの開発にR&D(研究開発)などのセクションを設け、優秀な人材の投入や金銭的投資をし、じっくり時間をかけて先進技術を開発します。その手塩にかけて開発を重ねたテクノロジーやノウハウが、ようやく商品化して市場に投入するとなった際に、そのテクノロジー、ノウハウがライバル会社に流出してしまったらどうなるでしょうか?

 本当ならば、その企業のその商品で将来市場を独占できたであろう売り上げや利益を損失してしまい、研究や開発にかけた莫大なコストがまったく回収できなくなってしまいます。

 これは、特定分野に特化している、オンリーワン企業にもいえることです。売上、利益の柱であり、いわばその企業の“メシの種”である要の商品のノウハウの流出…。それはその企業にとっての“命”の流出になってしまうのです。

 いういった企業を存続する上での大きなリスクを考えると、 今のノウハウや管理の状況がずさんであれば、今後、自覚や危機感を持って情報流出や漏洩対策をしっかりとやっていかなければ、企業の存亡にかかわることにもなりかねません。

     御社の大事な業務情報の漏洩対策、就業規則で行いませんか?

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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