どのような法違反が監査、臨検で指摘されるか

労基署の監査で指摘されることはどんなこと…??

 

 あくまで当方の経験を基にした記載になりますが、以下のような法違反の指摘が結構多いように思います。

 

 ・雇入れの際の労働条件の明示をしていないケース⇒労基法15条違反

  従業員を雇入れる際は、法で定められた一定項目の労働条件を労働者に対して書面で表示する必要があります。この法律に反した場合30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

 ただし、口頭で労働条件の明示のみであったとしても、この15条に抵触しているという理由でもってのみ、その約束した労働条件そのものが無効になってしまうということではありません。民法では口頭での契約での有効性を認めているからです。

 

 *雇入れの際の労働条件明示はこちらの方に詳細記事を設けていますのでご参考になさってください。

               “雇入れ時の労働条件明示”の説明記事へ

 

 賃金不払い⇒労基法24条違反

  支払期日が到来しているにも関わらず、給与が未払い(一部未払いを含む)になっている場合は行政指導の対象となります。

 また、一定の例外を除き、給与支払いの5原則(通貨払い、全額払い、直接払い、一定期日払い、月に一回以上払い)のどれかに反しているケースであっても指導の対象になります。

 これは退職金や賞与の場合でも就業規則等に支払いの計算方法や支払い時期の定めがある場合はこの労基法24条の適用を受け、指導の対象となります。

 この24条違反に対しては、30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

 

 ・法定労働時間を超過して労働させているケース⇒労基法32条違反

  何の法的手続きを経ず、従業員に1日8時間、1週40時間の法定労働時間(休憩時間を除く)を超え労働をさせた場合は指導対象となります。結果的には時間外労働協定の締結もしくは、変形労働時間制の導入を検討するような指導になってくるでしょう。

 この32条の違反に関しては、6ヶ月以下の懲役または30万円以上の罰金刑に処せられる可能性があります。

 

 ・賃金未払い残業(いわゆるサービス残業)⇒労基法37条違反

 法定労働時間を超えた残業、深夜10時以降の残業、法定休日の休日出勤に対して法律で決まった割増賃金を支払っていないケースがこれに当たります。

 この37条に違反した場合は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑に処される可能性があります。

 

 就業規則の作成届出違反⇒労基法89条

  常時10名以上の従業員がいる事業所の事業主は就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。10名以上従業員がいる事業所で就業規則が作成されていない。あるいは作成はしているが、届出をしていなかったり、法律で記載することが必須である事項が記載されていなかったりした場合は労基法89条に抵触し、指導の対象となります。

 この89条の違反に対しては、30万円以下の罰金刑に処される可能性があります。

 

 労働者名簿、賃金台帳を作成していない⇒労基法107条、108条違反

  事業場の規模に関係なく、使用者には労働者名簿と賃金台帳の作成及び一定期間の保管が義務付けられています。また、それぞれに記載しなければならない一定の項目がありますので、その項目が抜けていても指導の対象となります。

 この107条、108条に違反すると30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

 

 健康診断を実施していないケース⇒労働安全衛生法66条1項違反

  健康診断の実施は事業場の規模を問わず実施する義務を課せられています。年一回以上の定期健診の実施がないケースは指導の対象となります。

 

 最低賃金に満たない賃金しか払っていないケース⇒最低賃金法4条、労基法24条違反

  最低賃金は都道府県別に設定されている地域別最低賃金と、事業所の業種別に設定される産業別最低賃金に分かれます。月給制で固定残業を含むような形態で給与を支払う契約をしている場合は、時間給換算した場合に最低賃金を下回らないかどうか等を、監査、調査の前にチェックしておく必要があるでしょう。

 罰則の適用に関しては、地域別最低賃金の違反の場合は最低賃金法4条違反の罰則が適用され、50万円以下の罰金、産業別最低賃金の違反の場合は労基法24条違反の罰則が適用され30万円以下の罰金刑を課せられる可能性があります。

 

 上記の法違反の指導以外にも、厚生労働省が出している一定の基準(これを告示や通達といいますが)満たないような労務管理をしているようなケースも告示違反として指導の対象となり、是正を求められるケースもあります。

ただし、告示違反に対しては上記の法違反とは異なり罰則の規程はありません。以下に告示違反の例を記載しておきます。

 

 従業員の労働時間を把握するシステムを導入していない

  これは“労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき基準”という厚生労働省が平成13年に出した通達が根拠となっています。この通達には使用者が労働者の労働時間を適切に把握する手段の原則等が定められております。タイムカード管理等もなく、全く何も時間管理をするようなシステムもないような事業所や、時間管理をしていても、その方法が適切ではないような場合に指導が行われることがあります。

 

 有期労働者の雇い止めに関しての基準に反している場合

  期間の定めのある従業員を契約満了でもって、次回の契約をしない場合(これを雇い止めと言いますが)も一定の予告期間の基準が厚生労働省の告示で定められています。

つまり、更新を3回以上もしくは通算の雇用期間が1年を超えて雇用している場合は、30日以上の予告期間で雇い止めの予告をしなければならないことになっています。一定の要件を満たす有期労働者の場合は期間満了の日に何の前ぶりもなく“あなた今日で終わりだから明日から来なくてもいいよ”というのは告示違反になるということです。

 こういった場合も有期労働者の申し立てにより指導が入ることもあります。

 

                 転ばぬ先の杖!!

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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