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業務上の自動車事故と“使用者責任(民法715条)”の関係
1つ前の記事で“従業員が業務中に社用車、またはマイカーを業務使用していた際の事故について、基本的に会社側は民事的な賠償責任を負う”と述べましたが、その根拠となるものが、民法715条に規定される“使用者責任”と言われる概念、及び自動車損害賠償保障法の3条に規定される“運行供用者責任”の考え方です。
この記事では、民法715条に規定される“使用者責任”を解説していきます。
そもそもこの民法715条にはどのような条文なのでしょうか?
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民法715条ー使用者等の責任
ある事業を行うために他人を使用するものは、使用される者(被用者)その事業を行うに際しての第3者に与えた損害を賠償する責任を負う。ただし使用する者(使用者)が使用される者(被用者)の選任及びその事業の監督について相当の注意を払っていたとき、または相当の注意を払っていても損害が発生していたと考えられるときは、この限りではない。
2.使用するもの(使用者)に代って事業を監督する者も前項の責任を負う。
3.前の2つの規定があっても、使用するもの(使用者)又は監督するもの(監督者)は使用される者(被用者)に対し求償することは可能である。
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というような条文となっております。
条文を見ていただいてお解りだと思いますが、特に自動車事故に限定しているわけではありませんので、例えば取引上や業務上のミスなどにも広く解釈が及ぶ考え方です。
自動車事故の際は一般的に物損事故に対してよく登場する条文と言えます。といいますのは人身事故の際は、後の記事でご説明する、自賠法3条の“運行供用者責任”の概念が先行するためです。
この“使用者責任”が成立する要件としては、以下の3つです。
1)ある事業を行うために他人を使用していること
2)その事業の執行についての事故であること
3)使用されているもの(被用者)が第3者に対して何らかの損害を与えてしまったこと。
このなかでも特に1)と2)に関しては、広義に解釈されておりますので要注意事項になります。以下に補足の説明を加えていきます。
1)ある事業を行うために他人を使用していること。
この解釈は、実際に雇用契約や労働契約がなくても、実質使用者側の指揮命令が及んでいれば、1)の要件が満たされるという解釈となります。
例えば、名目上はいわゆる一人親方との請負契約を締結している、自動車運送業などは実態として請負業者を配達の順番や経路などで事細かい指示をしていたならば、それは指揮命令権があったと認められ、この1)の要件が認められやすくなるでしょう。(まあ、そもそも、そのような指示をしている時点で、請負契約が否定され、労基法上の労働者性が肯定される可能性もあるでしょうが‥。)
また、他社や取引先業者等の従業員を実際に業務の詳細に渡り指示命令しているケースもこの要件1)に該当するでしょう。派遣労働者を受け入れている派遣先企業は注意を要することになります。また、いわゆる“偽装請負”のような形態で他社の従業員を指示しているようなケースであれば、法令違反のリスクなみならず、民事賠償上のリスクを背負わなければならない可能性が非常に高いといわざるを得ません。何らかの対策が必要になってくるでしょう。
2)その事業の執行についての事故であること
この要件2)に関しても、判例は広い意味で解釈しています。つまり、使用される者(被用者)が厳密に業務を遂行中でない場合も、はたから見た場合に仕事中だと思われるならば、要件を満たし、民法715条が適用になるという考え方を裁判所は採用しています。
具体的には社用車を、無断で従業員が私用で用いた場合の事故も、実際は仕事中ではなくても会社側に“使用者責任”が重く圧し掛かってくるくるということになってしまいます。
このようなことを避けるためには、社用車の使用のルールを作成し、しっかり管理していくしかないのです。
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この記事は私が書きました
児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
社会保険労務士・行政書士
組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)
元大阪労働局 総合労働相談員
元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員
社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。
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大阪の社労士、行政書士の児島です。私は10期勤めた労基署の相談員時代に、通算件数15,000件以上もの労働相談を受けてきました。また、年間に300件以上の民間企業・法人の就業規則のチェックを行っており、これらの経験で培った、労働トラブルの予防に対する引き出しの数の圧倒的な多さが当事務所の武器です。