美容院、美容室の賃金設計の考え方。
−美容師さんのお給料はフルコミッション制(完全歩合)でもOK??−
さて、この記事では、美容院、美容室のお給料の考え方についてのレクチャーです。
美容院、美容室のオーナーの皆様が、スタッフのお給料に関して、陥りやすい誤解が2点あります。
まず、1点ですが、見習い期間中の給与は各都道府県の最低賃金額に満たなくても構わないと誤解されているオーナー様がいらっしゃいます。
これは、かつて、美容業界が徒弟関係‥つまり技術の習得を前提としたいわゆる師匠と弟子のような上下関係があったような名残もあるのでしょう。見習い中は給与を支給せずに、オーナー様が小遣い程度の小額の金銭を支給するというようなことも、行われていると聞きます。
いくら、見習いといっても従業員として、労基法上は労働者となりますので、このような扱いは違法となってしまいます。
見習い従業員といえど、労働時間に伴った都道府県の定める最低賃金額は少なくともクリアーしなければなりません。さもなくば、法令違反とされてしまうからです。
もう一つのよく陥りやすい賃金に関しての誤りなのですが、完全歩合制でということで、労働時間分の保障が全く無い賃金体系を導入されておられる、美容院、美容室が結構見受けられます。
確かに経営者目線で見れば、いくらスタッフが店舗に常駐していても、施術をしなければ、店舗側の利益にならないわけですから、そのような賃金体系でやっていかれたいお気持ちはよくわかります。
この点は労働基準法27条で以下のような定めになっております。
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労働基準法 27条
出来高払制の保障給
出来高払制その他請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない。
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よって、労働時間に応じて一定額の保障がなく、何人のお客様を施術したかだけで決定されるような賃金計算の方法はこの労基法27条に違反する方法であるということになってしまいます。
例え、結果的に歩合で計算したその一ヶ月の給与額をその月の労働時間で割り、その時給額が最低賃金を下回っていなくとも、この27条に抵触することになってしまいます。結果オーライではダメだということです。
ただ、一定額の定め方は事業主側の自由です。これも法律を下回らない額、つまり都道府県の最低賃金額さえクリアしていれば、法違反とはならないとされています。
歩合給を導入している、あるいはこれから導入されるオーナー様はこの点も考慮されて、賃金テーブルを考えなければなりません。
実質上は
時間補償給+歩合給の複線型の賃金テーブルを設計、導入していく必要があります。
当事務所では美容院、美容室の賃金制度や評価制度の導入にお力添えをさせていただいております。
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