3歳に達する子を養育する労働者の請求によって、所定外労働の免除が義務化されます。(改正法16条の8)
前述の短時間勤務制度の義務化と同様に、所定外時間外労働の免除も義務化されます。ただし、この免除に関しては、労働者側の請求によって初めて発生する権利(請求権)となっており、請求がなければ、特に免除の必要はありません。また、“事業の正常な運営を妨げる場合”は事業主は請求を拒否できるとなっています。(改正法16条8但し書き)
ただ、この“事業の正常な運営を妨げる場合”というのが、どんなケースが該当するのかというはっきりとした、指針等が出ていないため、何とも言えない部分はありますが、有給休暇の“時季変更権” と同じように、割と事業主側から見た場合に狭い範囲での解釈になってしまうのではないかと個人的には思います。
この所定外労働の免除に関しても、労使協定の締結を条件に以下に該当する労働者を適用除外とすることができます。
①引き続き雇用された期間が1年未満のもの
②1週間の所定労働日数が2日以下のもの
という形になり、短時間勤務制度と同様に有期契約であっても、引き続き1年以上雇用されている労働者や正社員以外のパートタイマーであっても、①②に該当しないのであれば適用としなければならない点に注意が必要でしょう。
この免除の請求をしたことや、制度を適用したことに対する解雇等の不利益な取扱いも禁止されています。
この不利益な取扱いの中には、労働者が免除を請求した希望の期間を超えて、免除の対象とするような行為、例えば、労働者が3ヶ月の時間外労働の免除を希望しているにも関わらず、それを超えて、6ヶ月や1年の期間を免除の対象にするような扱いも含まれるとなっていますので、要注意です。
この育児休業・介護休業の改正に伴い、多くの企業さんでは就業規則の見直し等を行わなければならないと思われます。当事務所では各企業さん、事業所さんのご予算に応じた就業規則のコンサルティングをさせていただいております。