医療業界人手不足、人材難対策②−看護師、医療スタッフの離職率を改善するには…

ナースや医療スタッフ達がモチベーション高く、長く勤続してもらうために!

 

“雇い入れた以上はナースや医療スタッフに当院にしっかり腰をすえて定着してもらいたい。すぐに辞められたら、また補充するにも、費用や手間がかかるわけだし…。しかし、長続きしないんだよなぁ…”

こういったお悩みを抱える医療機関の経営者の方は多いと思います。

しかしながら、医療技術者、特に看護師さん等は“転職が盛んな職種”と考えられています。その理由として考えられるのは…。

・入院施設を持つ病院等では、一定人数を上回る看護師の確保が義務付けられていることもあり、業界全体として慢性的に人手不足の売り手市場であること

・高度医療を提供する医療機関から、訪問看護、介護事業所、クリニックに至るまで、看護師さん自らのキャリア構築の考え方や生活態様等で様々な選択肢が可能であること

・シングルマザー等で自らが稼ぎ頭の大黒柱として機能しなければならない事情があり、どうしても今より金銭的報酬に恵まれた職場を求めてしまう看護師さんが多いこと

・人手不足の業界であるがゆえに、ライセンスを持っていてそこそこの実務経験があれば、いつでも別の医療機関に転職できるという意識を持った看護師さんが多いこと。

 

今の病院でなくても別の職場でもつぶしが利く…

もっと通勤が便利で、給料がいい職場が見つかればすぐに転職する

 

 こういった意識を持った看護師さんに意識を変えてもらう…。つまり今の病院、クリニック、職場、院長先生に対してロイヤリティ(忠誠心)を持ってもらうにはどのようにすればよいでしょうか?

 

キーワードは『成長欲求』『関係欲求』『生存欲求』及び『公欲』

『成長欲求』『関係欲求』『生存欲求』とは…

 アメリカのアルダファという心理学者が唱えたERG理論の中で述べられる、人間が生まれながらにして持っている本質的な3つの欲求のことをいいます。生存欲求は今日でいうところの給与や労働条件のことを指します。

 これら3つの欲求がいわゆる『私欲』と呼ばれるのに対し、医療従事者に対しては『公欲』を満たすような働きかけも重要になってくると思われます。そもそも人の役に立ちたいという立派な動機に基づいて医療従事者を目指された人が多くいるでしょうから、『公欲』への働きかけも不可欠です。

 医療スタッフに長い期間勤続し、かつ、モチベーション高く働いてもらうためには、従業員の『成長欲求』『関係欲求』『生存欲求』にプラスして『公欲』を刺激するような関わり方が重要となってきます。

 では具体的にはどのように関わっていけばよいのでしょうか?

 

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  解決策1. 非金銭的な報酬に魅力を感じてもらえる環境に!!

 もちろん生活の糧として、金銭的な報酬、つまり、給料・ボーナス等は大事な要素であることは間違いありません。現状の人不足も相まって、ナースや医療技術者などの有資格者達が期待する金銭的報酬にミートさせることは経営側にとっては非常に厳しいものになるケースもあるでしょう。しかしながら、『非金銭的報酬=お金で計れない条件』をもっと魅力的なものにすることにより、今在職している人材に対し、しっかりアピールすることができるようになります。

つまり、

  “医療人としてのやりがい” ー『公欲』『関係欲求』に関連

  “自分を成長させてくれる仕組み” ー 『成長欲求』を刺激

  “公平・公正に評価される仕組み” ー 『関係欲求』『生存欲求』に関連

 この3つの非金銭的報酬の提供が職員にとって充分魅力的であれば、『公欲』『成長欲求』『関係欲求』および『生存欲求』が刺激されます。人間の根源的欲求と呼ばれるもののほぼ全てに関わる働きかけができるわけです。高額の報酬だけが、今の職場にロイヤリティ(忠誠心)を持ってもらう方法ではないということです。

 また、こういった仕組みを作ることによって、職員満足度が向上し、結果患者様の満足度が向上するというプラスのスパイラルを生み出すことができると経営にも好影響を与えることは言うまでもないでしょう。

 当事務所が導入を支援する、人事制度は上記の“仕事のやりがいの提供”“職員の成長過程の道標作り”“公平・公正な評価”の3点全てを網羅した仕組みを作り上げていきます。

 また、処遇に関しては、昇給や賞与に充当できる予算の範囲内で、評価の高い職員を公正に優遇することが可能な仕組みとなっています。これにより、利益が薄い時期には、人件費の上昇を抑えることができるので、経営を健全にするための適切な人件費分配を意識した制度と言えるでしょう。

 当事務所の人事制度設計サービスの詳細については、姉妹サイトである、“大阪人事コンサルティングセンター”に紹介記事を掲載をしております。是非ご覧下さい。

 人材を育成し、戦力化する“人事制度設計サービス”の紹介はこちらから

 

解決策2.“多様な働き方”の提供

           ー ママさんナースやべテランナースの活用のために

  病院、クリニック等の医療機関は女性の労働力が不可欠な職場であることはいうまでもありません。その主力となる女性職員は、結婚、出産、子育て等で人生の節目節目で、仕事との優先順位を悩まなければならない時期に遭遇します。確固とした意思で持ってしっかり両立する人もいるでしょうし、大変な仕事であるがゆえに出産、子育て等の人生の一大イベントを機に、両立を諦め、家庭に入る選択をさせる方もおられると思います。

 もし職員さんの出産、子育て等の時期に生活スタイルに合った働き方を選択できるような制度があればどうでしょうか?職員さんたちが、仕事との両立をあきらめることなく、中々人材の確保がままならない医療業界の中で、油が乗った働き盛りの優秀な職員が“辞めない”ことで長期的な人材確保が保証されることでしょう。

 そういった意味で、当事務所では、病院や医療機関等、女性の労働力が不可欠な事業所には、多様な働き方の導入、特に“短時間正職員”の導入を推奨しております。

 また、いわゆるシニア世代に差し掛かった定年を間近のベテラン職員の方でも、その豊富な臨床経験や蓄積された医療技術で後進ナース達の指導のために病院に残って欲しいというケースもあると思います。そういった場合でも多様な働き方を提供することで、シニア世代の職員をうまく活用することが可能となります。

 こういった取り組みは福利厚生的な部分ですが広義の労働条件の一つとなります。つまり前述の人間が本質的に持つ欲求の中の『生存欲求』を刺激する取り組みの一つと言えるでしょう。

 短時間正職員の活用方法やメリット等の詳細については、調剤薬局の薬剤師の労務管理手法を解説した、こちらの記事をご参考にされて下さい。(病院等の医療機関様は短時間正社員を短時間正職員と読み替えて下さい。)

       『短時間正社員(短時間正職員)制度の導入について』の記事へ

 

解決策3.『コンピテンシー=デキる人の行動規範』の共有

 医療技術者として各々の技量が問われるような業界において、各自が得意とする分野の技術や手法が全職員に共有できるような仕組み作りができれば、職員全体の医療技術の底上げにつながることは当然のこととして、それ以外の効果としても、職員の一人一人が自分の技術の向上によって、医療人としての成長を感じることができ、仕事に誇りややりがいが生まれてきます。

 当事務所では『コンピテンシー』という手法を用いて行動規範の共有を実現します。

 『コンピテンシー』というのは、組織内の優秀な職員(ハイパフォーマー)の仕事上の行動特性を分析し、よい仕事、成果につながる行動を取り上げ、他の職員も同様の行動を真似ていけば、その組織としての成果も向上するという考え方です。

 スポーツで例えると、150kmを超えるストレートを投げるピッチャー達のメカニック(投球フォーム)を分析すれば、共通する動作が見て取れます。その共通する動作が150km投手のコンピテンシーというわけです。

 

『コンピテンシー』とは…簡単に言えば

 『デキる医療スタッフの行動』

             ということになります。

 

 医療機関で作成した“コンピテンシー=デキるスタッフの行動”の例

 ・ケーススタディについて、具体的に自分なりの「なぜ」「どうして」「どうしたら」という意見を発言できるように落とし込んで勉強している。

 ・手が空いたときには、紹介状などの整理、ファイリングを行ったり、採血の準備を手伝ったり、周囲の状況を見て行動している。

 ・診療報酬が改定された場合は、きちんと理解するまで参考文献を離さず持ち歩き、周りの同僚から聞かれたときにも正確に答えることができる

 ・非難器具の場所や、非常口、避難経路等防火管理に関する内容が理解できており、万が一のことがあっても防火活動や避難の誘導ができる。

 

 **実際に医療現場で作成した内容を基に当方にて適宜アレンジを加えた上で掲載しております。

 

 『コンピテンシー』を医療機関に導入することは、来院される患者さんからの支持を獲得し“当院のファンを増やす!”という効果はもちろんですが、医療機関や介護施設では離職率の改善効果も期待できます。

コンピテンシーの手法を導入された、医療機関さん、介護施設さんは軒並み離職率を改善され、優秀な職員さんがしっかりと定着しております。

 なぜなら、コンピテンシーの事例に記載した具体的な行動をご覧いただければわかるように、これらは上記で述べた、人間本来が持つ欲求のうち、『成長欲求』や『関係欲求』を刺激する取り組みだからです。また、仕事のデキる医療スタッフの行動を特定していくと、そこにはおのずと私欲以外でも純粋に人から喜ばれたいと思う、『公欲』を刺激する行動も含まれてくるからです。

 

 『コンピテンシー』にご興味を持たれたは、姉妹サイト『大阪人事コンサルティングセンター』のコンピテンシーのご紹介記事を一度ご覧になって下さい。

 また、ご希望の経営者の皆様に様々な業種でのコンピテンシーの導入事例が掲載された小冊子を進呈しております。

(姉妹サイト:大阪人事コンサルティングセンターの資料請求ページにジャンプします。)

 

 当事務所では、こういった組織の活性化や多様な働き方の提案により、優秀な医療スタッフの外部流出を食い止め、離職率を改善するお力添えを致します。

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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