建設業者の社会保険等未加入対策について(平成26年5月16日 国土交通省通達)

発注者と建設業所管部局が連携した建設業者の社会保険等未加入対策について

                   −平成26年8月より建設業者の社会保険等の適用を強化ー

 

 これも直接厚労省がらみの法改正ではないのですが、建設業の今後の労務管理について影響が出てくる通達であるため、取り上げさせて頂きます。 

 国土交通省は本年(平成26年)5月16日に建設業者の社会保険等の未加入問題の対策を強化する通達を出しました。内容は以下の通りです。

 ①平成26年8月1日以降に入札、公示を行う国土交通省の直轄の事業においては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の適用事業所であるにも関わらず、届出の義務を果たしていない社会保険等の未加入の建設事業者に対しては競売の参加資格を認めない。

 

 ②請負代金が3000万円(建設一式工事の場合は4500万円)以上の下請契約の受注者は、社会保険等未加入事業者(加入義務があるにも関わらず加入を怠っている業者)を一次下請契約の相手方にしてはいけない。なお、特別な事情がなくこの通達に違反した業者は制裁金が課せられ、指名停止等の措置も行われます。

 

上記の通達の発令を受けて、現行の建設業許可基準等に以下のような影響が出てきます。

 1.建設業の許可、更新申請書類の添付書類に社会保険の加入状況の記載が求められる。

 2.建設工事の際の、施行体制台帳に雇用保険、社会保険の加入状況の記載が求められる。

 3.経営事項審査における、保険未加入に対する減点幅の大幅な引き上げ

                     (マイナス60点⇒マイナス120点に引き上げ)

 

   **都道府県知事許可に関してはすでに上記のような対応を実施している所もございます。

 

 具体的に行政側としてどのようなアクションが行われるかというと…

  ・国土交通省の担当部局の職員が事務所や工場現場への立入指導を行い、社会保険未加入状態の事業所に加入するように指導する。

  ・国土交通省と(社会保険関連の本来の管轄省庁である)厚生労働省は、双方向の通報制度を確立し、未加入企業、事業所に対して同時に管理、指導できる体制を構築し、指導の強化を図る。

  ・社会保険に未加入で、行政(国土交通省及び厚生労働省)からの立入検査等を拒否し、または再三の指導にも従わない場合は、指示処分や営業停止処分等の重い処分を課す可能性もある。

  ・社会保険未加入等を含む理由により不適格業者とされた事業所には、建設業法に基づく罰則の適用や行政処分、企業名の公表、さらには公共工事からの排除という厳しい処分が下されることもありうる。

 

   なお、各都道府県の一部ではもうこういった指導体制をすでに導入しているところもあり、大阪府建設振興課に確認したところ、大阪府では平成24年11月より上記のような指導・処分ができるような体制となっております。

 また、奈良県では“奈良県公契約条例(仮称)”という条例の施行を検討しており、県の工事の受注業者に対しては、保険の適用以外にも、その受注業者で働く従業員の労働条件(雇い入れ時労働条件明示義務、法定労働時間、賃金等)が各労働法令がに順守された内容になっているか入札の際にチェックするシステムを整える予定があるとのことです。

 結果、法令順守しない業者を県の工事から排除することが可能になります。

 こういった動きは今後他の都道府県にも広がっていくものと考えられます。

 

 今後、建設業を営む方でも、小さな工務店等でなかなか労務の方まで手の回らない業者様等は知事許可、大臣許可、入札などなかなか厳しい状況になってくることが考えられます。。

 

 当事務所では、中小規模の建設業様、工務店様の保険の適用手続きのお手伝いでお力になられて頂いております。

 

 

  建設業や工務店を新規で起業されたい方、建設業許可の更新のタイミングで就業規則の導入や法人化等を検討中の皆様へ。当事務所ではお得なパック料金でトータル的にサポート致します。

      建設業、工務店様向け起業・創業サポートパックの紹介記事へ

 

    ご相談、お問い合わせはこちらから

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

免責事項

当ホームページは情報の掲載に関しては、万全を施すべく尽力しておりますが、サイト運営者の私見に基づく記述も含まれるため、全ての事案に対しての絶対の保証をしているわけではございません。また、法改正や制度変更の際は記事の更新が遅れることがあります。当ホームページ掲載の情報の取扱いに関しては、閲覧者の責任においてお扱いいただきますようにお願いいたします。当ホームページ掲載情報の扱いに際し、個人もしくは法人が何らかの損害を被ったとしても、児島労務・法務事務所ではその責任を負いかねます旨予めご了解下さい。

Copy Right:児島労務・法務事務所 2008

当サイト掲載コンテンツの全部または一部の無断複写・転載・転記を禁じます。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
06-6673-7856

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝祭日

大阪の社労士、就業規則の児島労務・法務事務所のホームページです。
就業規則の作成・変更を主力業務としている、大阪市住吉区の社会保険労務士です。元労働基準監督署相談員・指導員の代表社労士が長年の経験を活かし、御社にフィットする就業規則・賃金制度をご提供します。

サポートエリア)
最重要エリア)大阪市、堺市、吹田市等を含む大阪府下全域
重要エリア)京阪神地区、奈良地区
*オンライン(Zoom)でのお打合せにより就業規則作成、賃金制度構築等のサービスは全国対応可能です。大阪より遠方のお客様もお気軽にお尋ねください。

サービス内容のご質問、お見積もり依頼歓迎。

込み入った事案の労働相談は必ず事前予約下さい。(飛び込み対応は致しません)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

06-6673-7856

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝祭日は除く

ごあいさつ

大阪の社労士、行政書士の児島です。私は10期勤めた労基署の相談員時代に、通算件数15,000件以上もの労働相談を受けてきました。また、年間に300件以上の民間企業・法人の就業規則のチェックを行っており、これらの経験で培った、労働トラブルの予防に対する引き出しの数の圧倒的な多さが当事務所の武器です。

就業規則の
児島労務・法務事務所

住所

〒558-0045
大阪市住吉区住吉2-5-28

営業時間

9:00~18:00

定休日

土日祝祭日