懲戒処分ー行う前に知っておくべきこと

懲戒処分は刑罰と同様に考えなければならない!!

 

 懲戒処分という行為は、企業が秩序を維持するために行うものです。企業の自治権により、秩序を乱したものに対して制裁をする行為になります。それゆえに懲戒処分を行う際は、犯罪や条例違反等による、刑事罰と同様のやり方でもって臨まなければならないということになってきます。

 

 以下に刑事罰と同様に考えるべき点を挙げてご説明していきます。

 

 1.罪刑法定主義

 人を処罰するには、一般社会であれ、企業の中であれ、いずれにせよルール(一般社会であれば、刑法や地方自治体の条例、企業であれば就業規則)の中でどのような罪を犯せは、どのような処罰が下るのかという部分をはっきり明記しなければ、そもそも処罰はできないということです。よって例えば、従業員が売上金を横領したとしても、その企業さんに就業規則が存在しなければ、理論上はその横領した従業員に対して何の処罰もできないということになってしまいます。ルールがないのに社長の判断、サジ加減でなんらかの処分を行うことはNGなわけです。

 

 “罪と罰”の決め事ももちろんですが、処分の手続きに関しても就業規則の決め事に拘束されることになります。例えば、懲戒処分の前に、懲罰委員会等の諮問機関を経て処分の程度を決定するという決め事が就業規則上に記載がある場合は、その手続きを経なければならないということになります。この場合、懲罰委員会の諮問を経ずに行われた懲戒処分は手続き面で問題がありと判断される可能性が非常に高いといえます。

 

 2.遡っては処罰できない

 例えば、従業員Aが度重なる遅刻を行ったとします。事業主さんは従業員Aが5日連続遅刻してきた時点で、その勤務態度を問題視し、今まで作成していなかった就業規則を作成し、懲戒規程の中に遅刻を処分対象とする文章を盛り込み、全従業員に周知しました。

 事業主さんは、就業規則の周知前の過去5日間の遅刻に対しても処分しようとしていますが、これは処分できるでしょうか?

 答えはNGです。これは刑事罰の“不遡及の原則”という考え方に基づきます。あくまで、従業員が不祥事を起こした時点で、その不祥事が懲戒事由として就業規則上の記載があれば、処分できますが、なければ、その時点での不祥事に対しては処分できないということになります。

 よって、上記の例では、就業規則作成、周知前の5日間の遅刻に対しては、遡っての処分はできませんが、就業規則制定後にさらにAが遅刻を繰り返すようであれば、制定以後の遅刻に対しては懲戒処分が可能だということになります。

 

 3.二重処罰の禁止

 一度処分した懲戒事案に関しては、その後同じ理由をもとに処罰することができないという考え方で、“一事不再理”ともいいます。例えば、業務命令に反した従業員を戒告処分としたが、反省の色が見えないという理由で、さらに減給の処分をする、ということはこの2重処罰に該当し不可ということになります。ただし、一回戒告処分としたが、それでもまだ、業務命令違反を繰り返すであるとか、さらにひどい懲戒事案に該当する行為におよぶということであれば、さらに行われた不祥事の処分に際し、以前の戒告処分を加味し、加重した処分を課すことは、この二重処罰には該当せずに可能だと考えます。

 

 従業員の不祥事に対して、何らかの処罰を行う場合は、この1−3に関しては留意して行わなければならないということになります。

 

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員


 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。
その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。
圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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