地域手当とは、会社によっては都市手当や勤務地手当などという名称で呼ぶ場合もありますが、勤務地によって生じる、地域間の物価の格差を埋める手当です。

単身赴任手当とは、転勤に伴い、家族と離れて暮らさざるを得ない従業員に対して支給される手当のことを言います。

これらの手当は直接は労働の対価とは言えず、いわば、福利厚生的な手当となりますが、就業規則等に支給要件が明記されている限りは、労働基準法上の“賃金”であると解釈されてしまうわけです。

これらの手当は地域手当はもちろん、単身赴任手当でさえも、勤務地の物価差を埋めて、各々の従業員の実質的な賃金額の均等をはかるためのものという趣旨も含まれていると考えられます。

しかしながら、100%地域の物価の格差で決められているのか?と問われれば、やはり別の要因で額が決定されている部分もあるでしょう。

よって物価水準の変動によって、どれだけ減額できるのかということは一概には言えないと考えられます。“ドサクサに紛れて減額しやがった!!”と言われてしまう可能性もあるわけですからね。

これらの要因から考えると、こういった地域手当、単身赴任手当等を減額することも、不利益変更にあたり、減額に際しては“高度の必要性”及び“合理性”を検証しなければならないということになってしまうわけです。

この地域手当や単身赴任手当の減額ということでの、不利益変更で争われた大きな判例というのは、私の調べた限りでは見当らないようです。
(もしかすると簡易裁判所や地裁レベルではあるかもしれませんが…。)

よって、以下に述べることはあくまで推測という前提での話になります。

そもそも、地域手当、単身赴任手当というのは、地域の物価格差を考慮し実質賃金の公平化を図ろうという目的なわけですから、物価水準の変動の範囲内で地域手当、単身赴任手当を減額することは、“高度の必要性”まで求めることまでは必要あるのかということが問題になってきます。

しかしながら、別の色々な福利厚生的な手当の減額や廃止に伴う判例を見ていると裁判所は“高度の必要性”を企業側に課しているケースが多いように見受けられます。

例えば、日帰り出張手当、外出時食事補助、時間外労働の食事補助等であっても、就業規則等で支給基準が明確である以上は、労働基準法の賃金であると解釈され、それらの手当の廃止に関しても、“高度の必要性”まで要求しています。

よって、こういった裁判所の判断基準の傾向から見ても、例え、どちらかといえば福利厚生的な地域手当等を減額するに際しても、必要性や減額の程度、経過措置、代替措置、組合もしくは労働者側との交渉の経緯等が総合的に判断されることとなります。

地域手当、単身赴任手当の減額に際しても、慎重に行うことが不可欠なわけです。

 

ご覧の通り、手当の減額、廃止は当然のこと、複数の手当を一本化するにあたっても、労働契約法が施行後は、常に不利益変更の問題は避けて通れなくなっています。

当事務所では、不利益変更や訴訟のリスクを最小限に抑えた手法で、経営の合理性に沿った、賃金制度の再設計のお手伝いをさせて頂いております。

      『賃金制度改訂サービス』のページはこちらから

 

また、新たな規定の追加の場合はもちろんのこと、経営状況の悪化に伴う場合ですら就業規則の変更に伴う、労働条件の変更に関しては、やり方を間違うと“合理性のない不利益変更”と判断されてしまう可能性があります。

当事務所では、様々なケースを想定して就業規則の変更のコンサルティングを行っております。

各種手当の統廃合等で賃金規定をご変更の際は、経験豊かな当事務所に是非、ご相談下さい。

就業規則のご相談、ご依頼はこちらから

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

免責事項

当ホームページは情報の掲載に関しては、万全を施すべく尽力しておりますが、サイト運営者の私見に基づく記述も含まれるため、全ての事案に対しての絶対の保証をしているわけではございません。また、法改正や制度変更の際は記事の更新が遅れることがあります。当ホームページ掲載の情報の取扱いに関しては、閲覧者の責任においてお扱いいただきますようにお願いいたします。当ホームページ掲載情報の扱いに際し、個人もしくは法人が何らかの損害を被ったとしても、児島労務・法務事務所ではその責任を負いかねます旨予めご了解下さい。

Copy Right:児島労務・法務事務所 2008

当サイト掲載コンテンツの全部または一部の無断複写・転載・転記を禁じます。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
06-6673-7856

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝祭日

大阪の社労士、就業規則の児島労務・法務事務所のホームページです。
就業規則の作成・変更を主力業務としている、大阪市住吉区の社会保険労務士です。元労働基準監督署相談員・指導員の代表社労士が長年の経験を活かし、御社にフィットする就業規則・賃金制度をご提供します。

サポートエリア)
最重要エリア)大阪市、堺市、吹田市等を含む大阪府下全域
重要エリア)京阪神地区、奈良地区
*オンライン(Zoom)でのお打合せにより就業規則作成、賃金制度構築等のサービスは全国対応可能です。大阪より遠方のお客様もお気軽にお尋ねください。

サービス内容のご質問、お見積もり依頼歓迎。

込み入った事案の労働相談は必ず事前予約下さい。(飛び込み対応は致しません)

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ

06-6673-7856

<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝祭日は除く

ごあいさつ

大阪の社労士、行政書士の児島です。私は10期勤めた労基署の相談員時代に、通算件数15,000件以上もの労働相談を受けてきました。また、年間に300件以上の民間企業・法人の就業規則のチェックを行っており、これらの経験で培った、労働トラブルの予防に対する引き出しの数の圧倒的な多さが当事務所の武器です。

就業規則の
児島労務・法務事務所

住所

〒558-0045
大阪市住吉区住吉2-5-28

営業時間

9:00~18:00

定休日

土日祝祭日