そもそも労働契約というものは労使当事者間の合意によって成立します。
(労働契約法6条)

よって、契約の中身である労働条件も合意によって定められるわけです。

これは契約を変更する場合も同じ考え方で、労働条件を不利益に変更するには労使間の合意が必要になってくるわけです。(同法8条)

基本的に就業規則には“最低基準効”といって、就業規則に定められている労働条件を下回る、労働契約を労使の合意で締結したとしても、その条件は就業規則の条件まで引き上げられるという概念があり、これは労働契約法の条文の中にも盛り込まれています。(同法12条)

よって、就業規則に定められえている労働条件を労使間の合意によって、就業規則を下回る労働条件を不利益に変更したとしても、それだけでは、不利益変更の効力は生じないことになり、結局は就業規則の基準に戻ってしまうということになります。

したがって、労使間の合意によって労働条件を不利益に変更するには、当事者の合意だけではなく、事前に就業規則(もしくは労働協約)もその条件に合わせて変更しておく必要があるわけです。

また、労働者の合意の取り方の考え方についてお話します。

前記の通り、労使間の合意(契約法8条)とそれに合わせた就業規則の事前の変更により、労働条件の不利益変更は効力を生じますが、その前提として、労働者の同意は、自由意志に基づくことであるということが必要になってきます。

つまり、強制、脅迫、錯誤等で合意したように見せかけても、後々それが、判れば無効となってしまうということです。

特に、賃金の減額といった、労働条件の中でもとりわけ重要なものに関しての、同意は明確であることが求められるわけです。

(昭48・1・19 最高裁判例)

よって、不利益に変更する必要性、理由、内容について充分に説明した上で、労働者側の同意を取るということが、不利益変更の際の必須事項といえるでしょう。

 

上記からも判るとおり、従業員への合意の取り方等、手続き一つ間違うと労使間悪化の原因となります。

新たな規定の追加の場合はもちろんのこと、経営状況の悪化に伴う場合ですら就業規則の変更に伴う、労働条件の変更に関しては、やり方を間違うと“合理性のない不利益変更”と判断されてしまう可能性すらあるのです。!!

当事務所では、様々なケースを想定して就業規則の変更のコンサルティングを行っております。

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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