このページでは平成20年3月から施行させました労働契約法と労働条件の不利益変更の考え方、及び就業規則の変更・改訂の留意事項いう点に関して見ていきたいと思います。

昨今の経済情勢の悪化により、大企業でも、ワークシェアリングの導入等各々の従業員の労働条件を見直した上で、この難局を乗り切ろうとされているという報道をよく聞きますが、このような労働条件の変更が労働法的に考えた場合はどのようになるのか?ということをこの章ではみていきたいと思います。

まず、その障りとして、平成20年3月に施行された労働契約法の概要に関してご説明していきたいと思います。

基本的に労働契約というのは、事業主と労働者が交わす個別の契約です。
ですから、労働条件等に関しては、個別の合意により“契約自由の原則”が成り立ちます。

但し、労働時間や賃金等のメインとなる労働条件に関しては、労働基準法や最低賃金法等の強制法規を下回る契約はできないことになっています。

逆に言うと基準法や最低賃金法を下回らない限りは基本的には、契約は当事者間の自由ということになります。

しかし、いくら自由といっても、事業主側が労働基準法や最低賃金法を下回らない限り、現状の労働契約を一方的に労働者にとって不利となるように引き下げていいものでは、もちろんありません。

そこで、平成20年3月から“労働契約法”という法律を定めて、労働契約の運用に関して明文化しました。

ただし、そもそも契約自由の原則という大原則がある、契約の部分ですので、もちろん、刑事処罰の対象になるような強制法規ではありませんし、条文自体も非常に漠然としており、“じゃあ、具体的にどうすればいいの?”というような内容になっています。

漠然とした内容ながら、要点だけまとめると
・労働契約を(労働者にとって不利益に)変更する際は、事業主はその労働者の合意を取らねばならない。(労働契約法8条)

・事業主が就業規則を変更することによって、一方的にその事業所での労働条件を労働者にとって不利益に変更することはできない。(同9条)

・事業主が就業規則を変更することによって、一方的にその事業所での労働条件を労働者にとって不利益に変更するには、合理的な理由が必要となる。
 その合理性の判断基準としては
  1)労働者が受ける不利益の限度
  2)労働条件変更の必要性
  3)変更後の就業規則の内容の相当性
  4)労働組合との交渉の状況

                 ( 同10条)

という形になっており、やはり合理性の部分で、具体的にどうすればよいのか?
が不明確な内容になっております。

“とにかく、就業規則の効力は個々の労働契約よりは上であるので、就業規則を変更すれば、その事業所を包括する労働者との労働契約が全て変更できるんだ”という考え方はダメなんですよ!!ということをわざわざ条文化したということなのでしょう。

 

このページの以後の記事では、その不利益変更の合理性に関して、個別具体的に見ていき、就業規則の変更、改訂により“不利益変更だ!!”と従業員に指摘されないような基本的なスタンスやエッセンスをお伝えしていきたいと思っております。

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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