出退勤の自由裁量の程度

管理監督者の勤怠管理をどのようにすべきなのか?ということなのですが、この件に関しては、判例では“出退勤について厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について自由裁量権を有している”労働者でないと、労基法の管理監督者であると認められないという考え方が浸透した考え方となっています。

よって、会社の中で管理職であったとしても、“必ず9時に出社しなければならない。”
            であるとか、
どれだけ仕事が暇になろうが“とりあえず夕方の6時までは退勤してはいけない。”
という勤怠管理をしているのであれば、法律上の管理監督者には該当しないと考えられます。

このことは、前述の通達(基発第 0909001号 平成20年9月9日)においても、

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“遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合には、管理監督者性を否定する重要な要素となる。”

                     また

“労働時間に関する裁量営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合には、管理監督者性を否定する補強要素となる。”

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という形で以前からの通説である上記の考え方を明文化した上で支持しています。

よって、管理職を一般社員なんかと同様に、タイムカードで勤怠管理をしているようであれば、法律上の管理監督者であると主張することも難しくなってくるのではなかろうか?と考えます。

とはいっても、管理監督者であっても、時間外手当、休日手当に関しては、適用除外だけども、22時以降の業務に対する、深夜手当や有給休暇に対しては通常の労働者と同じで適用対象にはなってくるので、まったく勤怠管理をしなくてもいいわけではありません。

22時以降の出勤状況や有給休暇の付与を見る際の出勤率なんかは管理が必要になっては来るわけです。

よって、管理監督者に対しては、基本的には出勤簿管理で出勤率のみ管理するであるとか、タイムカード管理をするとしても、あくまで22時以降の分を管理する等、一般従業員とは、差別化した形で勤怠管理する必要があるでしょう。

また、昨今、過重労働が原因で健康障害が懸念されるため、管理職に対しても過重労働対策として、タイムカード等において労働時間を管理している会社さんもあると思います。

管理監督者に対する労働時間の自由裁量が、そういった勤怠管理まで規制するわけではありません。

実際、今回の通達では

“ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。”

ということが明文化されております。

だからといって、遅刻早退部分を欠勤控除したりするのであれば、管理監督者にならないということになってしまいますし、時間管理はあくまで、過重労働とならないかどうかのチェックためだけということに限定する必要があるでしょう。

過重労働となる可能性のある管理職に対しては、会社の方から積極的に、“労働時間の自由裁量”を利用した、労働時間の調整を管理職従業員に働きかけていく必要があるでしょう。

 

当事務所では御社の管理職従業員さんの勤怠管理方法や労務管理に関して、お力にならせていただきます。お問い合わせはこちらから。

この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員


 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。
その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。
圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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