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それでは、労働基準法の中で“就業規則”はどのように定義されているのでしょうか?
就業規則の作成・届出
労働基準法89条の中に以下のように規定されています。
常時10名以上の労働者を使用する使用者は、一定事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。変更した場合においても、同様とする。
この一定事項は、必ず記載しなければならない事項を絶対的記載事項と、定めをするのであれば記載する相対的記載事項に分かれます。
絶対的記載事項というのは労働条件の中で最も重要な部分、1.労働時間に関すること 2.賃金に関すること 3.退職(解雇事由を含む)の3点です。
相対的記載事項というのは、必ずしも労基法上は定めをしなければならないというものではないが、その定めをするのであれば、記載しなさいというものです。例えば退職金規定であるとか、賞与等の臨時の賃金がこれに当たります。
“常時10名以上”の考え方ですが、これは正社員のみならず、アルバイト社員、パート社員を含んだ形で10名以上ということになります。店舗等の事業所で店員さんがシフト出勤をするケースで、“出勤がバラバラで常時10名以上そろうことがないんだ。”というケースであっても、事業所として10名以上雇用しているのであれば、“常時10名以上”ということになり就業規則の作成、届出義務のある事業所となります。
就業規則の効力
また、労働基準法13条、92条、93条に就業規則の効力に関しての記載があります。
かいつまんで説明すると
労働基準法≧労働協約≧就業規則≧個々の労働契約
という優先順位になります。
(*労働協約は労働組合との協定、決め事のことです。)
また、就業規則の効力が発生するのは、労働者に対して周知した時点であり、管轄労働基準監督署に届け出をもって、効力が発生するわけではありません。
就業規則の周知
労働基準法106条において、就業規則の周知義務が定められております。事業主は労働者に対して、作成した就業規則を周知させなければならないとされています。
周知の方法としては
1.常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付ける
2.書面を労働者に交付する
3.磁気テープ、磁気ディスク(フロッピーやCD−ROM等)その他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がこれらの記録の内容が常時確認できる機器を設置する。(*社内イントラネット等でも常時内容が確認できる状態なのであれば可である)
の3つです。
周知義務違反に関しては、罰則が付いており、労働基準監督署からの行政指導の対象となります。
この記事は私が書きました
児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
社会保険労務士・行政書士
組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)
元大阪労働局 総合労働相談員
元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員
社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。
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大阪の社労士、行政書士の児島です。私は10期勤めた労基署の相談員時代に、通算件数15,000件以上もの労働相談を受けてきました。また、年間に300件以上の民間企業・法人の就業規則のチェックを行っており、これらの経験で培った、労働トラブルの予防に対する引き出しの数の圧倒的な多さが当事務所の武器です。