パワハラに当たるか否かの判断基準
パワハラに該当するか否かのガイドラインの設定
パワハラ…?必要な業務指導…? その線引きをどう考えるのか?
今回の労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の改正では、ガイドラインとして、具体的な行為・言動によりパワハラと考えられるのか、もしくは業務上指導や就業配慮の一環としての許容範囲とされるのか、一定の判断基準が例示されました。
**ただし、以下はあくまで『例示』に過ぎないので、事案により個別に判断しなければならないことに留意する必要があります。
パワハラの形態 | 該当すると考えられる行為 | 業務上指導の範疇、または就業への配慮として許容される行為 |
身体への直接的な暴力 | ・殴る、蹴る・灰皿等物を投げつける | 身体的暴力はどんな場合でもNGです。 |
精神的な追い込み、いびり | ・人格を否定するような言動 ・業務上の失敗、ミスについて必要以上に長い時間の叱責を繰り返し行う ・同僚や他の従業員が見ている前で大声で怒鳴る等の叱責を繰り返し行う ・その人の能力を否定したり、罵倒したりする内容の電子メールを本人や複数の同僚に送り付ける | ・社会人としての自覚に欠けるような行動(遅刻等)を繰り返す従業員に対しての一定範囲内の強い注意・業務内容や業務の性質に沿い重大な問題行動をした従業員に対しての一定範囲内の強い注意 |
意図的な仲間外れ | ・意に沿わない従業員に対して仕事を与えず、長期に渡り別室に隔離措置等を行う・特定の従業員一人に対し、集団で無視する。 | ・新規採用の従業員育成のために短期集中で別室で教育・研修を受講させる |
過大なノルマや成果達成の追及 | ・長期にわたる苦痛を伴う過酷な環境下の中で本来業務とは直接関係のない作業を命じる ・入社間もない経験値の低い従業員に対し、必要な教育を行わないままに、到達不可能な目標やノルマを課し、未達成であることを厳しく叱責する。 ・業務に関係のないプライベートの雑用を強制的に行わせる。 | ・従業員育成のために現行レベルよりも少し難易度の高いレベルの仕事を任せる・繁忙時等の業務上の必要性に伴い、業務担当者に通常時と比較して一定以上業務量を任せる。 |
悪意が伴う窓際、閑職への追いやり | ・管理職の立場の従業員に対し、退職させることを目的として誰でもできる雑用のような仕事しか与えない。・特定の従業員に対し嫌がらせを目的として仕事を与えない。 | ・その従業員の処理能力や業務量に応じて一定の量の仕事を軽減する |
プライベートへの介入や侵害 | ・従業員を職場外でも監視したり、私物として保有するために撮影したりする・従業員の性志向、病歴、不妊治療等のデリケートな個人情報を本人の了解を得ないまま同僚等に暴露する。 | ・就業への配慮を目的として家族の状況についての聞き取りを行う・従業員の了解を得て、左記のデリケートな個人情報を必要な範囲内で人事労務部門に伝え、就業上の配慮を促す |
企業側としての、パワハラの防止策としては、こういった一定基準をきちんと管理職社員や若手社員の指導にあたる中堅社員に共有するとともに、改めて部下、後輩に対しての接し方を考える機会を与える必要があると思います。現在の管理職についている方は自分がかつて『叩き上げで鍛えられてきた!』と自負される世代の方も多数いらっしゃると思いますので…。
なかなか、部下との関係力をアップする管理職研修などを受ける機会がなく管理者になってしまったしまったような方々は自分が鍛えられた若手時代のやり方をそのまま現在の部下に課してしまう傾向があるようです。
そういった管理職社員、中堅社員を対象に部下との関係力、コミュニケーション力の磨く研修を当事務所では提供しております。

当事務所ではこういった部下との接し方を学ぶ管理職研修に加え、ハラスメント研修、就業規則の改訂による意識の共有等で社内でのパワハラ防止策のご提供でお力添えをさせていただきます。中小企業の施行時期(令和4年4月)も迫ってきています。今のうちに対策を取られておくことをお勧めいたします。