トラック運送業の現状・経営課題・労務上の課題について
トラック運送業界の現状について
“深刻なドライバー不足の継続”
“燃料費の相場に左右される営業利益”
“傭車の依存による人件費の増大”

直近(平成28年度)の全日本トラック協会が発行する経営分析報告書を参照すると現状のトラック協会の経営上の課題は上記の3点に絞られてくると思います。
トラック運送業は燃料費の相場という外部要因が営業利益、経常利益に大きく影響する業界です。決算上の業績が好転した年度があったとしてもそれだけでは安心できない非常に厳しい業種であるといって過言はないでしょう。燃料費が予想以上に高騰すると、本来なら喜ばしいことである、顧客(荷主)からの注文の増加が逆に利益を締め付ける結果となるということもあるでしょう。こればかりは営業努力をいくらしたところで解決できることではありません。中小規模の運送会社の多くは燃料費の高騰で一気に赤字に転化するリスクと隣り合わせということが言えると思います。
“深刻なドライバー不足”につきましても、主に若年層のドライバーが中々採れないといった状況がここ数年継続的な課題となっており、最近では“人手不足”を理由に廃業される運送業者さんもあると聞いております。
“雇用”という形態で中々人材が確保できない状況が続くのであれば、“傭車”という形態に依存せざるをえない運送会社さんも増えているようですが、雇用よりも人件費がかかる結果となり、経営を圧迫するリスクに繋がる可能性も否定できません。
こういった経営上の課題もそうですが、労務管理という点に目を向けましても、運送業界はその特殊性もあり、労働時間の管理についても、労働基準法という規制以外にも“トラック運転者の改善基準”という労基法よりもさらに厳しい規制の対象になるため、2重の負荷がかかる業種となります。
また、トラック運転業特有の歩合給を中心とした賃金体系が労使間のトラブルが起こりやすい環境となっており、これまでにも裁判や組合が介入した争議が多く見受けられます。
賃金体系については、労働争議の予防や回避という観点でも大事でありますが、(退職金も含めた)金銭的報酬は従業員たちの大きなモチベーションポイントになりますので、深刻な人材不足が続く運送業界においては、ドライバーの採用や定着という観点でも賃金制度、退職金制度をどのように運用するかは大きな課題といえるでしょう。
こちらのページではそういったトラック運送業における労務管理、特に改善基準という運送業界独特の労働時間管理、運送業にふさわしい賃金体系やドライバーの採用、育成、定着についてのエッセンスの解説記事を記載しております。
燃料費の相場の増減に悩まされても、従業員が安心して働ける環境を整え、よい人材のやる気を高め、結果に結びつける経営をしていれば、そんな外的要因もただのマイナス要素の一つに過ぎないはずです。
是非ご参考にしていただければと思います。
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