賃金(給与)テーブルの設計コンサルティング

新入社員や中途採用者の給与の決定に関してきちんとしたルール付をされてますか?

 確固とした賃金テーブルを持たれていない、中小企業の社長さんやクリニックなどの小規模事業所の経営者の方から、『新たに従業員を雇い入れるのだが、給与をどのように決めればよいのかわからない』といったご相談をよく頂きます。

責任、能力との整合性は?

 最終的には、前職でもらっていた給与をヒアリングして、同程度あるいは少し優遇した額で決めるケースが多いと思いますが、そのような決め方では、現在在職している従業員の給与額と整合性が合っているのか?という疑問が残ります。

一例を挙げてみます。

 現在在職3年目の従業員Aと今回採用することになったAと同年齢の中途入社の従業員Bのケース

中途入社Bの給与を決める際、前職での給与を考慮し、在職従業員Aの給与よりやや高めに設定したとしても、実際にこの従業員Bが従業員Aより能力があるかどうかわかりません。また働きぶりが従業員Aより劣るということであれば、高めに設定した額が会社から見た場合、無駄な人件費ということになります。また、従業員間でお互いの給与額なんかを情報交換している場合、(A、Bが同じ年齢であれば給与額は互いに意識するはずです。)Bの給与額をAが知った時の会社への忠誠心の低下やモチベーションの低下は計り知れないでしょう。

 “込み込み給与”の危うさ、リスクの高さ

 よくハローワークの求人票や無料求人誌の広告などで、“手当込み月給20万円”や“月給30万円(残業代込)”といった記載を目にします。求人票に記載されているだけで、実際の給与決定時にはきちんと基本給や手当額について決め事があればよいのですが、採用後の運用も“込み込み給与”になっているのであれば、法令に抵触するリスクの高い運用と言わざるをえません。

 “月給30万円込み込み”であったとしても、そのうち固定残業代がいくらか?その固定残業代が残業時間の実態に見合うかどうかの検証は必要ですし、もし、それが実態に合わないような設計であれば、労基署の監査などが入った場合に、残業代の一部が未払いと判断され、遡及払いを命じられるリスクもあります。

 “込み込み給与”のリスクでもう一つ考えられるのは、不利益変更の問題です。この“月給30万円込み込み”の中に、特殊勤務手当に代表される職種に限定される手当や、インセンティブ的な手当も“込み込み”なのであれば、将来的にその職種を離れて、別の職種に配置換えされたとしても、“その手当の部分は減額できない”ということになってきます。そもそも入社時“込み込み”の約束だったわけですから、給与の引き下げの不利益変更の可能性が高くなるわけです。

“営業手当”を支給している営業社員が事務職に配置換えになったときや、“運転手当”をもらっているドライバーが配車係になった時に職種限定の手当削減されるケースでは“不利益変更”の注意が必要でしょう。

 当事務所の給与設定コンサルティングの成功例

  お客様:従業員16名の小規模な調剤薬局の場合

 問題点① 

 調剤薬局、特に薬剤師さん対する給与の決め方は、各手当込み込みの年俸制になっていることが非常に多いです。当事務所がコンサルティングさせて頂いた調剤薬局も、例えば残業代込の年俸700万円…という給与の決め方をされていました。

 上記でも述べているように、残業代込の給与の決め方というのは、管理監督職でもない限りは、従業員から後々残業代の一部未払いがあったと主張される可能性があるため非常に危険です。

 問題点②

 また、薬剤師さんは前職での給与を下回らないように、採用する際の給与を決めていたこともあり、経験や能力の差がきちんと反映している給与体制かといえば決してそうではありませんでした。

 また、能力や実績がわからない段階で、前職の給与をそのまま鵜呑みにして採用すると、他の従業員のモチベーションに影響を与えかねないでしょう。

 コンサルティングのポイント

 このような状況下で、まず、年俸額の中に含むとされている残業手当の額が果たして適正なのかどうか等を日頃の業務の残業時間の実態の調査を行い、法違反がないような形に辻褄を合わせていく作業を行いました。

 同時に、責任、権限、能力がきちんと給与にリンクするような給与制度を構築していきます。

 このようにして、賃金テーブルを設計し、こちらの調剤薬局様では、薬剤師さん、スタッフの皆さんのモチベーションを削ぐことなく新たな賃金制度の導入に労使ともにご満足頂いております。

 小規模事業所では、大企業のような等級に沿った体系的な賃金テーブルを導入することは非常に困難だと思います。評価による等級の上がり下がりが賃金に影響するので、評価する側の訓練等も行わなければなりません。そのような制度は中小企業には不向きでしょう。

 何も複雑に体系化したものだけが、賃金テーブルではありません。簡易なものでも有効に機能するシステムは作れるのです。

 小規模事業所でも、小規模事業所に向く、簡易でかつ、従業員の納得性を得られる賃金制度の構築は可能です。

 当事務所では、従業員の能力や責任、権限を賃金にリンクさせ、法令違反に抵触することのない形態の、従業員のみなさんにご納得頂ける賃金制度のご提案をさせて頂いています。

当事務所では“忙しい社長でも短時間で給与設計ができるソフト”を用いて給与設計のコンサルティングを行います。詳細は以下から

                

   姉妹サイト“大阪人事制度導入センター:給与設計ソフトのご紹介”のページへ

コンサルティング料は従業員数によりますが以下よりご気軽にお見積り依頼を頂ければと思います。

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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