改正男女雇用機会均等法施行規則(平成26年7月1日施行)
改正男女雇用機会均等法ー平成26年7月1日施行
−“間接差別”とされる範囲が拡大されましたー
本年(平成26年)7月1日から施行されている、改正男女雇用機会均等法の中でも、今回の改正の大きな柱である、“間接差別になりえる措置の範囲の見直し”について解説をします。
間接差別とは
男女雇用機会均等法では、雇用における男女間の格差の縮小や、(主に)女性の活躍の推進を妨げる措置を排除し、より活躍の場が広がるように、以下①〜③を間接差別と定義し、企業側に労務管理上において留意するように求めています。
①(建前上は)性別以外の事由を要件とする措置であっても
②他方の性の従業員と比較して、一方の性の従業員に相当程度の不利益を与えるものを
③合理的な理由がないのに講じること
では、企業がどのような措置を講じると、この“間接差別”に該当すると解釈されるのでしょうか?
その点について、厚生労働省令の中の男女雇用機会均等法施行規則で以下のように例示されており、今回の改正では、この施行規則に改正があり、(2)の部分がさらに厳格化しています。
(1)労働者の募集、または採用にあたって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること。
(2)(職種を問わず全ての)労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。
*改正前は総合職の労働者の募集・採用に限り、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすることとされていましたが、今回の改正により、朱字部分の範囲が拡大されました。
(3)労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること。
上記(1)〜(3)の措置が、すべて禁止されるということではなく、合理的な理由があればOKとなっています。企業の運営や人事労務の政策の上で合理性があるかないかという点が、法に抵触するかどうかのカギになってきます。
合理性の有無に関しては、厚労省の指針で見解が示されていますので、数例ご紹介しておきます。
・(1)については、荷物運搬等の業務において、業務を行うために必要な筋力よりも、強い筋力があることを、募集、採用の条件としていること。
・(2)については、広域にわたり展開する支店、支社、営業所等もなく、今後広域にわたり展開する計画もないにも関わらず、募集・採用、昇進、職種の変更の際の要件に、転勤の経験を含むこと。
・(3)については、特定の支店、支社、営業所での管理職としての職務を遂行するのに、異なる支店、支社、営業所等の経験が特に必要ないと認められるにも関わらず、その、支店、支社、営業所の管理職への昇進について異なる支店、支社、営業所での経験を要件としていること。
上記のようなケースが“合理的な理由なし”と判断され、上記指針に抵触する可能性が高いので、注意が必要です。
社内の昇進ルールは、この指針でいうところの“間接差別”という観点で見た場合、どうでしょうか?完全に大丈夫と言い切れるでしょうか?この機会に一度チェックされてみてはいかがでしょうか?
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また、今回の改正では、この“間接的差別の禁止”以外にも“セクハラの予防、事後対応の徹底”などの項目も盛り込まれています。この機会に社内のセクハラ防止措置が法令に順守しているか等はチェックしておいた方がよいと思います。
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