改正労働契約法ー無期労働契約への転換とクーリング期間の考え方

無期労働契約への転換とクーリング期間の考え方(平成25年4月1日施行)

 「同一の使用者との間で、有期労働契約が反復更新され、契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、無期労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者はその申込みを承諾したものとみなされる」というルールについては、前の記事で解説させていただきました。

 このルールを適用する際に、有期労働契約と有期労働契約の間に、空白期間(同一の使用者との契約がない期間)が、原則6か月以上あるときは、その空白期間より前の有期労働契約は、5年のカウントに含めないこととされています。これをクーリングといいます。クーリングされた場合、それ以前の通算契約期間が一旦リセットされ、その要件に該当した空白期間後の契約期間から、通算契約期間のカウントが再度スタートします。

 また、空白期間以前の有期契約期間が1年未満(例えば、6ヶ月契約など)のケースでは、クーリング期間が6ヶ月以上ではなく、“厚生労働省令で定める期間以上”とされています。

 

 例1)1年以上の有期契約を繰り返すケース

 平成25年4月1日から平成26年3月31日までの1年の有期契約

                ↓  更新(1回目)

 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの1年の有期契約

                

  この後、労働者が短期語学留学のため、6ヶ月間空白期間(クーリング)

                

 平成27年10月1日から平成28年9月30日までの1年の有期契約(同一の使用者に)

        これ以前の2年間の通算期間は一旦リセットされ、通算5年間はここからカウントし直します

                 更新(クーリング後、1回目)

 平成28年10月1日から平成29年9月30日までの1年の有期契約

                 更新(クーリング後、2回目)

 平成29年10月1日から平成30年9月30日までの1年の有期契約

                 更新(クーリング後、3回目)

 平成30年10月1日から平成31年9月30日までの1年の有期契約

                 更新(クーリング後、4回目)

 平成31年10月1日から平成32年9月30日までの1年の有期契約

       *この契約の満了をもってクーリング後、通算5年間となります。

                 更新(クーリング後、5回目)

 平成32年10月1日から平成33年9月30日までの1年の有期契約

     *この期間中に労働者は無期労働契約締結の申し込みができ、申し込みがあった場合は、使用者はこの契約が満了後の契約は、期間の定めのない労働契約としなければなりません。

                 無期労働契約締結の申し込み

 平成32年10月1日からは期間の定めのない労働契約へ転換

**空白期間が6ヶ月未満の場合はクーリングの対象とならず、契約期間は一旦リセットとはなりません。

ただし、通算の有期契約期間を見るので、空白期間そのものは通算の対象から外してカウントします。

 

例2)6ヶ月契約(1年未満の有期契約)を繰り返すケース

 平成25年4月1日から平成25年9月30日までの6ヶ月の有期契約

                 ↓ 更新(1回目)

 平成25年10月1日から平成26年3月31日までの6ヶ月有期契約

                               更新(2回目)

 平成26年4月1日から平成26年9月30日までの6ヶ月有期契約

                 

 直近の契約満了後、家庭の事情により、厚生労働省令で定める期間を超える空白期間が生じる

                 

 平成27年X月X日から6ヶ月の有期契約再開

                 

 クーリング期間終了後、通算5年間、計10回の6ヶ月間の有期契約を繰り返す

                 

 平成32年X月X日から 、クーリング後、11回目の6ヶ月間の有期契約

  *この期間中に労働者は無期労働契約締結の申し込みができ、申し込みがあった場合は、使用者はこの契約が満了後の契約は、期間の定めのない労働契約としなければなりません。

                  無期労働契約締結の申し込み

  この有期契約満了後は期間の定めのない労働契約へ転換

 

   例2)にて記載されている、厚生労働省令で定める期間の計算方法は複雑です。詳細は当事務所でもお伺いしておりますので、お尋ね下さい。

 

 当事務所では、労働契約法改正に伴う労務管理や、就業規則の見直し、強化にお力添えをさせて頂いております。

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この記事は私が書きました

児島労務・法務事務所 代表 児島登志郎
 社会保険労務士・行政書士
 組織心理士・経営心理士(一般財団法人 日本経営心理士協会 認定)

 元大阪労働局 総合労働相談員
 元労働基準監督署 協定届・就業規則点検指導員

 

 社会保険労務士として開業する傍ら、大阪府下の労働基準監督署にて総合労働相談員、就業規則・協定届点検指導員を計10年間勤める。 その間に受けた労使双方からの相談数は延べ15,000件以上、点検・指導した就業規則、労使協定届の延べ総数は10,000件以上に及ぶ。 圧倒的な数量の相談から培った経験・知識に基づいた労使紛争の予防策の構築や、社員のモチベーションを高める社内制度の構築を得意分野としている。

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